1999 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的な酸性雨観測データの空間的・時間的変動に関する研究
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11780383
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
石川 百合子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助手 (30303001)
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Keywords | 酸性雨 / 環境問題 / 歴史的変化 / 時間変動 / 空間変動 / 観測データ / 降水分析 / 酸性化 |
Research Abstract |
本研究は、地球環境問題の1つである酸性雨の長期的な変動を明らかにするため、歴史的な環境データの収集および解析によって、日本および世界における過去の酸性雨の状況を復元することを目的としている。酸性雨の系統的観測は、欧米では1950年代、日本においては1980年代から行われるようになったため、それ以前の過去の酸性雨の状況については、既存の降水、陸水、土壌などの分析データを収集し、それらの解析結果から推測する必要がある。今年度は、酸性雨の研究を世界で先駆的に行ってきたスウェーデンにおいて、スウェーデン農科大学、ウプサラ大学、ウメオ大学などでの酸性雨観測および森林、土壌、植生への影響評価実験、クリティカルロードモデルなどについて、研究発表や資料収集および聞き取り調査を行った。また、日本における過去の降水分析の観測方法や観測結果などを紹介し、観測データの性質や精度について国際的な比較や検討を行った。スウェーデンでの過去の降水や土壌の観測データを用いたシミュレーションモデルの結果から、1950年代に大気や土壌が急激に酸性化して1990年頃まで進行したが、21世紀に向けて徐々に回復する傾向が見られた。これは欧州における大気汚染物質とくに硫黄酸化物の削減対策に起因するものであった。日本では、1950年代の降水の酸性化を示す結果が得られているが、最近では同じレベルで推移しており、回復している様子は見られなかった。
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