1999 Fiscal Year Annual Research Report
生態毒性を指標とした廃棄物焼却灰資源化プロセスの評価・管理
Project/Area Number |
11780398
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
小松 俊哉 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (10234874)
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Keywords | 廃棄物焼却灰 / 溶融スラグ / 環境安全性 / バイオアッセイ / Daphnia magna / 急性遊泳阻害試験 |
Research Abstract |
廃棄物焼却灰から得られる溶融スラグのリサイクル資源としての利用が注目されている。資源化利用の場合,最終処分の場合よりも厳しい環境安全性が保たれることが必要であり,その総括的な評価にはバイオアッセイの導入が有効である。本研究の目的は,廃棄物焼却灰から作成した廃棄物溶融スラグの環境安全性をバイオアッセイによって評価することである。用いるバイオアッセイは,環境を構成している生態系への影響を評価する生態毒性試験とし,本年度はOECD(経済開発協力機構)において基礎レベルの試験として選定されているDaphnia magna(オオミジンコ)を用いて急性毒性を評価するDaphnia magna急性遊泳阻害試験について,廃棄物試料への試験手法を確立することを主眼とした。先ず,Daphnia magnaの飼育方法を確立し,また基準物質に対する急性遊泳阻害試験の応答も標準的であることを確認した。その後,試料として,実焼却施設から入手した廃棄物焼却灰,その焼却灰から作成した溶融スラグ,さらに実施設の溶融スラグを用い,各々について溶出試験で得られた溶出液を急性遊泳阻害試験に適用した。その結果,焼却灰は毒性が非常に強いのに対して,溶融スラグでは毒性が大幅に低減した。毒性低減機構としては,毒性に寄与する焼却灰中の重金属類や高濃度の無機塩類が,溶融操作によって結晶構造に取り込まれることなどによって溶出が抑えられるためと推察された. 来年度は,溶融プロセスにおける操作条件が得られる溶融スラグの毒性に及ぼす影響について検討する。さらに,慢性毒性や生殖への影響を評価するため,Daphnia magna繁殖試験を行う。現在までの予備実験の結果,対照系においてOECDの試験有効基準を満足しており,今後実試料へ適用する.
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