2000 Fiscal Year Annual Research Report
有用遺伝子の導入による育種菌を用いた基質多成分系の処理に関する研究
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11780400
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
越川 博元 京都大学, 工学研究科, 助手 (70273480)
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Keywords | 有機ハロゲン化合物 / デハロゲナーゼ / 有機ハロゲン化合物分解菌 / 遺伝子組換え / 固定化 / ポリアクリルアミド / 組換え菌 / 廃水処理 |
Research Abstract |
本研究では、廃水処理の高度化を図る方法の一つとして、多機能な菌を育種しこれを利用した処理系の構築を最終的な目的としている。本年度では育種した菌の遺伝子的および生物活性的安定性を計ることを目的として育種菌を包括固定をおこない、その効果について次の結果を得た。 1.前年度で脱ハロゲン化酵素遺伝子を導入した遺伝子組換え大腸菌を作成したが、導入した遺伝子の構造を見直しさらに最適化を試みて構築したプラスミドpETDEXaにより大腸菌BL21(DE3)pLysS中で、その酵素活性は3.5U/mgから12.5U/mgに向上した。発現条件について検討した結果、誘導物質はIPTG、22℃で12時間の培養をおこなった場合に最大活性を得ることができた。 2.寒天およびポリアクリルアミドを担体として、組換え大腸菌を包括固定化したところ、固定化操作の前後で活性は大きく失われたものの、固定化菌体の生物活性の時間的減少は緩やかであり、生物活性の安定化に対して固定化法はその効果が認められた。 3.固定化担体からの遺伝子組換え大腸菌の漏出が認められた。その廃水処理への利用については固定化を行った場合においても、漏出防止の手段を講じる必要が示唆された。 4.Pseudomonas putida No.109由来の非耐熱性L-CPAデハログナーゼ(L-DEX H109)に対してPseudomonas sp.YL由来の耐熱性L-CPAデハロゲナーゼ(L-DEX YL)の立体構造を元にホモロジーモデリングおよび部位特異的変異を導入した。その結果、H109の変異酵素のうち、S51R+G88CではL-DEX YLを越える熱安定性を示したことから、処理システム中での安定的な活性発現と利用に応用できるものと考えられた。
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[Publications] 越川博元: "脱ハロゲン化酵素遺伝子を導入した大腸菌への固定化法の適用とその効果"土木学会論文集 No.664. VII-17. 1-10 (2000)
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[Publications] Yumiko Ohkouchi: "Cloning and expression of DL-2-haloacid dehalogenase gene from Burkholderia cepacia"Water Science and Technology. Vol.42. 261-268 (2000)