1999 Fiscal Year Annual Research Report
中心性不斉によるらせん分子二量体のホモヘリシティ誘起とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
11780423
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
八木 繁幸 大阪府立大学, 工学部, 助手 (40275277)
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Keywords | ヘリシティ / ホモヘリシティ誘起 / らせん構造 / 非環状テトラピロール |
Research Abstract |
本申請課題では、高次らせん構造のヘリシティ発生のメカニズムを明らかにすることを目的として、外因的な中心性不斉の導入によるらせん分子二量体のホモヘリシティ制御について研究を行っている。平成11年度において、まず、非環状テトラピロール亜鉛錯体(亜鉛ビリンジオン)を1つのらせんユニットとし、それらを種々のアキラルなスペーサーで連結した二量体を合成した。これらのらせん分子二量体は、3つのコンフォマー、すなわち2つのらせんユニットが右巻き-右巻き構造および左巻き-左巻き構造であるホモヘリシティ体と右巻き-左巻き構造であるヘテロヘリシティ体の平衡状態にあることが^1HNMR測定から確認された。また、これらのコンフォマー間の平衡は、光学活性なアミノ酸エステルがらせんユニットの中心の亜鉛に配位することによって移動することが、^1HNMR滴定実験、紫外可視吸収スペクトルならびに円偏光二色性スペクトルから明らかになり、一方のホモヘリシティ体(L-体のアミノ酸エステルが配位した場合、左巻き-左巻き構造)が選択的に形成されることを見出した。このホモヘリシティ体形成はらせんユニット間の距離が短いほど高効率であり、亜鉛ビリンジオン単量体がアミノ酸エステルと錯形成した場合のヘリシティ誘起に比べてヘリシティ含率(右巻き、もしくは左巻きのヘリシティの過剰率)が高いことから、ヘリシティ-へリシティ間の相互認識の重要性が示唆された。
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