1999 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂における脂肪酸合成系の役割、変異株が生成する新規リン脂質とタンパクの機能
Project/Area Number |
11780430
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
横山 和明 帝京大学, 薬学部, 助手 (50246021)
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Keywords | 脂肪酸合成酵素 / 極長鎖脂肪酸 / ホスファチジルコリン / ホスファチジルエタノールアミン / カタラーゼ / プロテオーム解析 / リゾリン脂質 / 薄層クロマトグラフィー |
Research Abstract |
1. リン脂質lsdPC、lsdPEの構造決定:分裂酵母の脂肪酸合成酵素変異株中に蓄積するリン脂質lsdPC、lsdPEを薄層クロマトグラフィーで単離した。標品とそのホスホリパーゼA2による分解物について、ESI-TOF-MSで分子量を測定し、GC-MSによりメチル化した脂肪酸を同定して、それぞれグリセロール1位に炭素数30の飽和直鎖脂肪酸、2位にオレイン酸を含有するホスファチジルコリンと、同じ疎水部を持つホスファチジルエタノールアミンであることを明らかにした。 2. 変異型脂肪酸合成酵素の強制発現と生成物の検索:脂肪酸合成酵素の変異点を遺伝子の塩基配列決定により明らかにした。PCRにより変異型脂肪酸合成酵素遺伝子DNA全長を調製し、分裂酵母強制発現用プラスミドに組込み、これを導入した酵母細胞株を樹立した。遺伝子の強制発現の確認と生成物の検索を遂行中である。 3. lsd p90の機能解析:PCRにより調製したlsd p90遺伝子全長を大腸菌強制発現用プラスミドに組込み、組換えタンパクを多量に合成させ精製しウサギに免疫した。血清中の抗体をアフィニティ精製して酵母細胞の蛍光免疫染色を行ない、細胞質中に粒状に分布することを明らかにした。またlsd p90遺伝子の強制発現あるいは遺伝子破壊するためのプラスミドの構築を完了した。さらにプロテオーム解析により本株中に58kDaと43kDaのタンパクの発現が亢進していることを見出した。これらはカタラーゼと新規タンパクであった。 4. 当初計画以外の成果:(1)本株を制限温度でレスキューできる脂肪酸に厳密な特異性があり、パルミチン酸のみであることを見出した。(2)脂肪の単離法を改良することにより、生理活性脂質をして注目されているリゾリン脂質のすべてを同時に分析できる薄層クロマトグラフィー展開系を開発し論文発表した。
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