1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11780435
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川口 しのぶ 理化学研究所, 糖遺伝情報研究チーム, 基礎科学特別研究員 (80301753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 崇一 理化学研究所, 糖遺伝情報研究チーム, チームリーダー (90124677)
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Keywords | ゴルジ装置 / シアル酸転移酵素 / ST6Gal I / セクレターゼ |
Research Abstract |
複合糖鎖の生合成機構において、糖転移酵素は中心的な役割を果たす。各糖転移酵素はタイプII型の膜タンパク質であり、糖鎖を形成する順に従って、ゴルジ装置内のシス、メディアル、トランス部位、およびトランスゴルジネットワークに局在していることが知られているものの、その局在機構は不明の点が多い。本研究において、糖タンパク質のN一型糖鎖にシアル酸残基を転移するシアル酸転移酵素、T6Gal Iをモデル分子とすることにした。 ST6Gal Iは、ゴルジ装置に停留した後に、一部が幹領域でプロテアーゼ(セクレタ一ゼ)によって切断され、細胞外へ分泌される現象が知られている。糖転移酵素のゴルジ装置局在機構の解明を目指した研究を行っていた過程で、幹領域を削除した変異体ST6Gal Iが、セクレターゼで切断されなくなり、細胞表面にも発現するようになったことを見いだした。このことからST6Gal Iセクレターゼが、ゴルジ局在ST6Gal Iの細胞表面での発現を積極的に抑制しているのでないか、と考え、ST6Gal Iの性状を調べることにしたのである。本年度は、各種培養細胞系を用いてST6Gal Iセクレターゼ活性を種種の条件下で測定し、以下の結果を得た。 (1)培養細胞の種類によって、分泌される可溶型ST6Gal Iの分子量に少なくとも3種類あることを見いだし、これらの分子量の差異が糖鎖修飾の差異によるものではなく、セクレターゼによる切断部位の差異であることを示唆する結果を得た。このことは、細胞によって発現しているセクレターゼの種類が異なる可能性を示している。 (2)クロロキンやメタロプロテアーゼ阻害剤によってST6Gal Iの分泌に影響が見られなかったことから、ST6Gal I セクレターゼは、リソソーム内のプロテアーゼではなく、また、アダムスファミリーのメタロプロテアーゼにも属さないことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kitazume-Kawaguchi S.,Dohmae N.,Takio K.,Tsuji S.and Colley K.J.: "The relatiohship between ST6Gal I Golgi retention and its cleavage-Secretion"Glycobiology. 9. 1397-1406 (1999)
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[Publications] Lee Y.C.,Kaufmann M.,Kitazume-Kawaguchi S.,Kono M.,Takashima S.,Pircher H.and Tsuji S.: "Molecular Cloning and Functional Expression of Two Members of Mouse NeuAcα2,3Galβ1,3GalNAc GalNAcα2,6-sialyltransferase family,ST6GalNAcIII and IV"J.Biol.Chem.. 274. 11958-11967 (1999)