2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11780435
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川口 しのぶ 理化学研究所, 糖鎖機能研究チーム, 基礎科学特別研究員 (80301753)
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Keywords | シアル酸転移酵素 / ゴルジ装置 / セクレターゼ / ポリシアル酸 / ST6GalI / ST8SiaII / ST8SiaIV |
Research Abstract |
本研究においては、糖タンパク質のN-型糖鎖にシアル酸残基を転移するシアル酸転移酵素、ST6GalIをモデル分子として、糖転移酵素のゴルジ装置局在機構の解明を目指した。また、シアル酸転移酵素の酵素学的性質を調べるために、ポリシアル酸合成酵素も用いた。 ST6GalIは、ゴルジ装置に停留した後に、一部が幹領域でプロテアーゼ(セクレターゼ)によって切断され、細胞外へ分泌される現象が知られているが、セクレターゼに関する情報は不明であった。本研究において、私はST6GalIのセクレターゼによる切断部位が、通常は40番目のリジン残基と41番目のグルタミン酸の間であることを決定した。次に、この切断部位に特異的な抗体を作成し、いろいろな培養細胞の培養液中において、この部位で切断された可溶型ST6GalIを検出することに成功した。また、ある種の癌細胞では、分泌されるST6GalIの分子量が通常の可溶型ST6GalIの分子量と異なることも見いだした。分泌された可溶型ST6GalIを精製し、N-端のアミノ酸部位を決定したところ、切断部位が異なることを明らかにし、関与しているプロテアーゼの種類が異なることが示唆された。 また、ポリシアル酸構造の形成に関与するシアル酸転移酵素、ST8SiaII,ST8SiaIVの酵素学的性質を調べたところ、神経細胞接着分子NCAMを基質とするときに比べ、酵素自身が基質となるような場合は、in vitro assayにおいて、ポリシアル酸構造に加え、シアル酸の2つ結合した糖鎖が主に形成されることも分かった。また、シアル酸転移酵素に共通したモチーフであるシアリルモチーフVS中のHis残基の変異によって、酵素活性が全く検出されなくなることも分かり、この残基が触媒部位として作用している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)