2000 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインCインヒビター遺伝子の発現制御機構の研究-肝および生殖臓器における転写調節機構の解析-
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11780443
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
林 辰弥 三重大学, 医学部, 助手 (00242959)
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Keywords | プロテインCインヒビター / 転写調節領域 / 腎近位尿細管上皮細胞 / Sp1結合部位 / AP2結合部位 |
Research Abstract |
プロテインCインヒビター(PCI)は、主として肝臓で産生される血液凝固制御因子の活性化プロテインC(APC)に特異的な血漿阻害因子で、α1アンチトリプシンなどと相同な構造を有する血漿セリンプロテアーゼインヒビター(SERPIN)ファミリー蛋白質の1つである。また、PCIは尿中にもウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベーター(uPA)との複合体として存在し、尿中PCIは腎近位尿細管上皮細胞で産生されることが知られている。我々は、これまでに本奨励研究の補助の基、肝癌由来株HepG2細胞でのPCIの発現とその制御に重要な転写調節領域を解析し、PCI遺伝子の肝における発現のプロモーター領域としてはSp1結合部位が、エンハンサー領域としてはAP2結合部位が、サイレンサー領域としてはA-activator結合部位およびインターフェロン-γ反応性領域が重要であることを報告してきた。本年度は、これまでの研究をさらに発展させ、腎近位尿細管上皮細胞におけるPCIの転写調節領域をルシフェラーゼをレポーター遺伝子として解析した。その結果、そのプロモーター領域としてはSp1結合部位が、エンハンサー領域としてはAP2結合部位が重要であることが明らかになった。また、1.6kbの5'上流およびポリA付加部位を含む約15kbのヒトPCI遺伝子をマウスの受精卵に導入して作製したヒトPCI遺伝子トランスジェニックマウスでは、機能を有するヒトPCIがその血漿中に存在し、そのマウスにおけるヒトPCImRNAの組織分布がヒトにおけるそれとほぼ一致することから、本実験で使用した約15kbのヒトPCI遺伝子上には、ヒトPCIの組織分布を規定するほぼすべてのシスエレメントが含まれることが明らかになった。また、本ヒトPCI遺伝子トランスジェニックマウスを用いて作成した種々の疾患モデルマウスは、ヒトPCIのin vivoでの発現変動の解析に有用であると考えられた。
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[Publications] Yuasa,H., et al.: "Bovine protein C inhibitor has a unique reactive site and can transiently inhibit plasmin."Thromb.Haemost.. 83. 262-267 (2000)
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[Publications] Suzuki,K.and Hayashi,T.: "Cis-elements required for expression of human protein C inhibitor (PCI) gene in HepG2 cells and its androgen-dependent expression in rat reproductive organs."Sem.Thromb.Haemost.. 26. 75-83 (2000)
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[Publications] Ido,M., et al.: "Identification of a novel 33-kDa Ser/Thr kinase that phosphorylates the cytoplasmic tail of protease-activated receptor 1 (thrombin receptor) in human platelets."Thromb.Haemost.. 83. 617-621 (2000)
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[Publications] Watanabe,R., et al.: "Plasma levels of activated protein C-protein C inhibitor complex in patients with hypercoagulable states."Am.J.Hematol.. 65. 35-40 (2000)
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[Publications] Shimizu,S., et al.: "Thrombin stimulates the expression of PDGF in lung epithelial cells."Am.J.Physiol.Lung Cell.Mol.Physiol.. 279. 503-510 (2000)