1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11780463
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 宗仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90302801)
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Keywords | タンパク質 / フォールディング / モルテン・グロビュール状態 / 生物物理学 / ストップト・フロー法 / X線溶液散乱法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、モルテン・グロビュール状態形成の分子機構を明らかにし、タンパク質のフォールディング機構の統一的な描像をもたらすことである。本研究ではまず、α-ラクトアルブミン(α-LA)の様々な変異体を遺伝子工学的に構築することが必要であった。そこで、大腸菌を用いたヤギα-LAの発現系により、α-ドメインとβ-ドメインのみを単独で発現させることを目指して実験を行った。当初、この遺伝子はpUT7と呼ばれるプラスミドに組み込まれていたが、このプラスミドでは変異体を作製するときに不便であり、またタンパク質の発現量が少ないという問題点があった。そこで、変異体作成に便利で、かつ大量発現が期待されるプラスミドであるpSCREEN 1b(+)にα-LAの遺伝子を組み込み、タンパク質の発現を行った。一方、上記の変異体作成と並行して、蛋白質のフォールディング過程を詳細に特徴づけるために、ストップトフローX線溶液散乱法により、α-LAのフォールディング反応の測定を行った。従来は一次元PSPC型X線検出器を用いて測定を行っていたが、新たに開発された二次元CCD型X線検出器を用いることにより、従来の100倍以上の感度向上に成功した。また、この検出器で得られるデータには様々な補正を行わなければならないが、本年度の研究により補正法が完成し、CCD型X線検出器によって正確な散乱曲線が得られるようになった。その結果、α-LAは、巻き取り反応開始後数10ミリ秒以内に、平衡条件下で観測されるモルテン・グロビュール状態と同じ分子サイズと形状を持つ中間体を形成することが明らかになった。こうして、α-LAのフォールディング中間体が平衡条件下で観測されるモルテン・グロビュール状態と同一であることが強く裏付けられた。今後は、上記の変異型タンパク質を使用して、各ドメインのフォールディング過程とその分子構造を解析していく予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 新井 宗仁: "Role of the moten globule state in protein folding"Advances in Protein Chemistry. 53. 209-282 (2000)
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[Publications] 新井 宗仁: "Effect of alternative disulfide bond on the structure,stability and folding of human lysozy me"Bio Chemustry. (発行予定). (2000)
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[Publications] 新井 宗仁: "Structure analysis of protein folding intermedictes by soletion X-ray scatterring"Old and new views of protein folding. 31-40 (1999)
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[Publications] 桑島 邦博: "The molten globule state-the physical picture and biological sighnificsnce"Mechanisms of protein folding. (発行予定). (2000)
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[Publications] Vincent Forge: "Is folding of β-luctoglobulin non-hierarchic ? Intermediate with native-like β-sheet curd non-native α-helix"Journal of Molecular Biology. (発行予定). (2000)
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[Publications] 桑島 邦博: "The folding mechanism of α-lactalbumin and Ca^<2+>-binding lysozyme"Old and new views of protein folding. 135-144 (1999)
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[Publications] 依田 隆夫: "Kinetic folding reactions and moleculor dynamics simulations of α-lactalbumin"Old and new views of protein folding. 155-162 (1999)
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[Publications] 槙尾 匡: "Chaperonin-unfolding refolding of α-lactalbumin effects of nvuleotides and co-chaperonin GroES"Journal of Molecular Biology. 293・1. 125-137 (1999)
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[Publications] 藤原 和夫: "Folding-unfolding equilibrium and kinetics of eguine β-lactoglobulin:equivalence between the equilibrium molten globule state and a burst-phase"Biochemistry. 38・14. 4455-4463 (1999)