2000 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス前細胞の成熟をひきおこす標的由来因子の同定
Project/Area Number |
11780464
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷藤 高子 (森本 高子) 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10311648)
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Keywords | シナプス / シナプス前細胞 / ショウジョウバエ / 標的由来因子 / WGA / GFP / 突然変異体 / シナプス形成 |
Research Abstract |
シナプス前細胞の成熟を引き起こす標的由来因子の同定を目的として、ショウジョウバエ胚の神経・筋シナプスにおいて、機能的に正常なシナプスの形成がされているかどうかを指標として、突然変異体をスクリーニングする方法の開発を試みた。小麦胚芽レクチン(WGA)は、シナプス間で、特異的に一方から他方へと移ることが、報告されている蛋白質である。このシナプス間での移動は、神経細胞の活動に依存して起こることが明らかとなっている。ショウジョウバエ胚の神経・筋肉シナプスにおいては、筋肉細胞にWGAを発現させると、筋肉細胞にシナプスを形成している神経細胞の方へとWGAが移動することが明らかになった。この方法を、神経細胞の軸策が標的細胞である筋肉細胞まで到達しているが、シナプス形成がおこらずシナプスの機能が異常となっているような変異体をスクリーニングする方法として使用できるか検討した。前年度は、効率的なスクリーニングのため、蛍光蛋白質GFPとWGAを融合させた蛋白質を筋肉で発現させたショウジョウバエを作成し、それが、WGAと同様に神経細胞へと移動するかについて検討した。その結果、WGAはGFPとの融合蛋白質として発現しており、WGAと同様に筋肉細胞から神経細胞へと移動すること確認された。今年度は、更にこの方法の有効性を示すため、既存のシナプス形成が異常になった突然変異体においてWGAの移動に変化が見られるか検討した。その結果、WGAの移動は変異体でも起こっていることが明らかになった。これらの変異体はシナプス形成の後期過程が阻害された変異体なので、シナプスが、少しでも形成されれば、WGAの移動には十分であるものと考えられる。次に、刺激に対する応答が阻害された変異体では、WGAの移動が減少していた。したがって、シナプスの活動に異常のある個体、およびシナプス前細胞が未熟な個体を探し出すことが出来る可能性が示唆された。
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