1999 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造に基づく全長の因子の複合体によるプロモーター認識機構の解明
Project/Area Number |
11780471
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
岡田 健吾 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (60304169)
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Keywords | X線結晶構造解析 / σ因子 / アンチσ因子 / プロモーター |
Research Abstract |
本研究は、細菌において遺伝子発現過程の第一段階である転写開始に関わる最も重要な蛋白質の1つであるシグマ(σ)因子の立体構造をX線回折法を用いて原子分解能で決定することにより、プロモーター特異的なDNA認識機構を初め、酵素複合体としての分子集合様式や反応機構を構造化学的に議論することを目的とするもので、本年度の目標は、X線結晶構造解析に適した単結晶を得ることであった。数種類あるσ因子のうちσ^<28>、σ^<32>、σ^<38>を全長で効率良く発現/精製する系の確立はほぼ達成されたので、様々な条件下で結晶化を試みたが現在までに良好な単結晶を得るには至っていない。しかし、より安定な構造を得る目的で、σ^<28>の全長anti-σ因子(FlgM)の発現/精製法を確立し、複合体による結晶化を試みた。さらに、σ^<28>はFlgMのC末端側ドメイン(CTD)と高親和性で安定な複合体を形成する事が分かったので、CTD-FlgMの発現/精製法を確立し結晶化を試みた。最終的な精製標品が分解されていない安定な蛋白質複合体である事を、電気泳動/マススペクトル/動的光散乱/CDスペクトル/N末端アミノ酸分析など種々の測定により確認した。結晶化は主に蒸気拡散法を適用し、pHを変えながら沈殿剤/塩/添加剤などのパラメータをスクリーニングした結果、沈殿剤としてポリエチレングリコールを使った条件で微小結晶を得る事に成功した。この結晶は数回のシーディングを行った後で、最大で0.1x0.1x0.8mm^3の大きさにまで成長した。現在、国内の放射光施設を使い、得られた結晶のX線回折能を調べると共に強度データ収集を試みている。今後、現条件で得られた結晶を使った回折強度データ収集が可能である事が明らかになれば、原子分解能での構造解析に向け、さらなる結晶化条件の最適化を行い、構造解析を進める予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nakai et.al.: "Structure of Thermos thermophilus HB8 Aspartate Aminotransferase and its Complex with Maleate"Biochemistry. 38. 2413-2424 (1999)
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[Publications] Odagaki et.al.: "Crystal Structure of the phroglutamyl peptidase I from Bacillus amyloliquerfaciens reveals a new structure for a cysteine protease"Structure. 7. 399-411 (1999)
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[Publications] Iwata et.al.: "X-ray Crystallographic Analysis of Bovine Mitochondrial Cytochrome bc7 complex"Tankakushitsu Kakusan Koso. 44. 643-654 (1999)
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[Publications] Hirotsu et.al.: "Crystal Structure of a multifunctional 2-Cys poroxated oxin,HBP23YPAG"Pro.Nat.Aca.Sci.. 96. 12333-12338 (1999)