1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞周期調節因子サイクリンEとcdc25Bの分解機構の解析
Project/Area Number |
11780472
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小南 欽一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80304830)
|
Keywords | 酵母 / Sサイクリン / タンパク分解 / ユビキチン-プロテアソーム / SCF / APC / サイクロソーム |
Research Abstract |
ヒト細胞周期調節因子サイクリンEおよびCdc25Bは、それぞれ分裂酵母のSサイクリンであるCig2、およびCdc2の活性化因子Cdc25脱リン酸化酵素の機能的相同分子と考えられる。最近次々と明らかになった高度に保存されたユビキチン-プロテアソーム系において、酵母でこれらの量的調節に関わる因子はヒトでも同様にサイクリンEやCdc25Bの制御に関わると考えられる。したがって、まず酵母におけるこれらの制御因子およびそのメカニズムを明らかにし、次にその知見を利用し、ヒトホモログを得ようと考えた。 本研究において私は、まず、Cig2は26Sプロテアソームによって分解されることを示した。さらにその量的制御には3つの独立したユビキチン系が関与していることを明らかにした。すなわち、M期にはAPC/サイクロソームがD-boxを介してCig2のユビキチン化を、S期では主にSCF複合体が現在未知の転写因子の分解を通じてCig2mRNAの量的調節を、またG2期ではAPC/サイクロソームでもSCF複合体でもない未知のユビキチン化酵素(E3)によってCigはユビキチン化され、分解されることがわかった。これは一つのタンパクが複数のユビキチン系によって複雑に制御されていることを示した世界最初の例である。このようにしてSサイクリンはG1/S境界点に鋭いピークを持つと考えられ、このメカニズムも酵母からヒトまで高度に保存されている可能性が非常に高いと考えられる。現在SCFがどの転写因子を介してCig2のmRNAを制御しているか、また、G2期におけるCig2に対するユビキチン化酵素(E3)の同定を試みている。また、Cdc25に関しても同様の解析を行っている。
|
-
[Publications] Toda T.: "Two distinct ubiquitin-proteolysis pathways in the fission yeast cell cycle."Phil.Trans.R.Soc.Lond.B. 354. 1551-1557 (1999)
-
[Publications] 小南欽一郎: "細胞工学"秀潤社. 135 (1999)
-
[Publications] 小南欽一郎: "実験医学"羊土社. 179 (1999)