1999 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類細胞における複製と連関して生じるDNA損傷とその修復反応系
Project/Area Number |
11780485
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保田 美子 東北大学, 加齢医学研究所, 助手
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Keywords | XRCC1 / DNA修復 / DNA複製 |
Research Abstract |
申請者は平成11年度研究計画に従い、XRCC1欠損EM9細胞とその親細胞であるAA8細胞のdamage tolerance能を定量した。具体的には、それぞれの細胞をMMS処理後、一定の時間新しい培養液で培養しパルスラベルによって各時間におけるDNA合成能を調べた。その結果、MMS処理直後はEM9、AA8ともに短い新生鎖の合成はなく伸長反応のみがみられた。MMS処理後4時間にはAA8細胞では短い新生鎖の合成が回復しているのがみとめられたが、EM9細胞では伸長反応しか見られなかった。このように、EM9細胞では損傷DNA存在下でのDNA複製反応は、伸長反応には異常はないが、複製開始点からの新たな発火が遅れるということがわかった。これまで知られていなかったXRCC1タンパク質とDNA複製との関連が示唆される結果を得たので、XRCC1タンパク質に存在する二つのBRCTモチーフ(DNA修復や細胞周期に関係するタンパク質にみられる)がこのDNA合成の回復に関与しているかをXRCC1遺伝子の人為的突発変異を用いて調べた。すると、大変興味深いことに、二つのBRCTモチーフのうち一方のみがこのDNA合成の回復に関係していることが分かった。さらに、このモチーフの変異はMMSに対する感受性を決めていることも分かった。これらの結果から、XRCC1欠損細胞のMMS感受性は塩基除去修復の欠損というよりも複製回復の遅れに起因すると考えることが出来る。現在このことを確かめるために、修復能の詳細な解析や、XRCC1タンパク質のin vivoでのリン酸化について解析を進めている。
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