1999 Fiscal Year Annual Research Report
小Maf群蛋白質を中心とするb-Zip転写因子ネットワークの成り立ちと機能
Project/Area Number |
11780486
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
本橋 ほづみ 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (00282351)
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Keywords | 小Maf群蛋白質 / ジーンターゲティング / トランスジェニックマウス / 転写因子 / 血小板形成 / 神経変性症 / 赤血球形成 / bZip型転写因子 |
Research Abstract |
小Maf群蛋白質の生体における機能を明らかにするために,小Maf群蛋白質遺伝子mafK,mafG,mafFの遺伝子破壊マウスと,MafKの過剰発現マウスを作成して,これらのマウスの解析を行い,後述する結果を得た。 1)小Maf群蛋白質の遺伝子破壊実験.mafK,mafFそれぞれの遺伝子欠損マウスは目立った異常を示さなかったが,mafG欠損マウスにおいては血小板の減少と平衡機能障害が認められた。これらの交配により,複合変異マウスを作成したところ,mafK:mafG2重欠損マウスで、赤血球膜蛋白質の発現異常による赤血球の形態異常,進行性の運動失調,巨核球からのproplatelet形成障害による血小板減少,さらに,酸化ストレス応答の障害による白内障が認められた。mafK:mafK2重欠損マウスには異常が認められず,mafG:mafF2重欠損マウスは,mafG単独欠損マウスと同様の表現型であったことから,MafGの生体における機能が最大であり,MafKはMafGと協調的に機能していることが明らかになった。また,mafK:mafG:mafF3重欠損マウスは胎生致死であることが明らかになり,MafFも生体において機能的な分子であることが証明された。 2)小Maf群蛋白質の過剰発現実験.MafKを赤血球系細胞とTリンパ球とにそれぞれ過剰発現するマウスを作成した。いずれのマウスでも,MafKはその細胞系列の細胞数を減少させ終末分化を障害するという結果が得られ,それぞれの細胞系列で小Maf群蛋白質を含むbZip転写因子ネットワークが重要であることが示唆された。また,巨核球においてMafKが過剰発現すると,proplateletの形成障害が起こることが明らかになった。これは,mafG欠損マウスの表現型と一致しており,小Maf群蛋白質の量が過剰でも不足しても,bZip転写因子ネットワークの機能が抑制されるためと考えられる。至適な量の小Maf群蛋白質が存在する時にのみ,bZIp転写因子ネットワークの機能が最大に発揮されることがin vivoで証明された。
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[Publications] Onodera K: "Characterization of the murine mafF gene"J. Biol, Chem.. 274. 21162-21169 (1999)
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[Publications] Motohashi H. (共同筆頭著者): "Perinatal synthetic lethality and hematopoietic detects in compoand mafG mafK mutant mice"EMBO J.. (印刷中).