1999 Fiscal Year Annual Research Report
転写開始から伸長反応への以降における転写因子の作用機構
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11780490
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桜井 博 金沢大学, 医学部, 助教授 (00225848)
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Keywords | 酵母 / 基本転写因子 / 転写制御 |
Research Abstract |
RNAボリメラーゼII(RNAPII)により転写される遺伝子の転写調節は、基本転写因子(TFIID,TFIIB,TFIIE,TFIIFとTFIIH)、転写調節因子、それらの間を仲介する仲介因子(メディエーター)の相互作用により制御されている。転写開始から伸長への移行過程では、転写開始点付近のDNA鎖が開き一本鎖DNAになり、RNAPIIの CTD(carboxy-terminal domain)がリン酸化される。この反応はTFIIHのDNA helicase活性とCTDリン酸化活性により制御されている。本研究では、酵母を材料にして、この過程に関わるタンパク質群、GalIIタンパク(メディエーターの構成タンパク)、基本因子TFIIEとTFIIHの相互作用について解析した。 転写開始においてDNA鎖が「開く」過程でのGal11とTFIIEの機能について検討するため、in vivo過マンガン酸カリウムフットプリントを行った。過マンガン酸カリウムは、一本鎖DNAやnon-B formD NAの"T"を修飾することより、promoter meltingおよびTBPのTATA boxへの結合状態について解析できる。TFIIE高温感受性株およびgal11破壊株では、promoter meltingが顕著に阻害されたことより、両因子がこの過程に関与していることが示唆された。一方、TBPのTATA boxへの結合は、両変異により影響を受けなかった。これらの結果より、TFIIEとGal11 は、TBPのTATA boxへの結合後、つまり安定な転写開始複合体の形成、または、promoter meltingの過程に必要であることが明らかになった(論文投稿中)。また、転写開始点が下流にシフトするTFIIE変異株では、promoter meltingも下流で起こっていたことより、TFIIEは正確な転写開始点にTFIIHを位置させることにも関与していた。今後、TFIIEとTFIIHの相互作用、promoter meltingと転写開始点の選択についてさらに研究が必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ohishi-Shofuda,T.et al.: "Transcription initiation mediated by initiator binding protein in Saccharomyces cerevisiae."Biochemical and Biophysical Research Communications. 255・2. 157-163 (1999)
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[Publications] Sakurai,H.et al.: "Activator-specific requirement for the general transcription factor IIE in yeast."Biochemical and Biophysical Research Communications. 261・3. 734-739 (1999)
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[Publications] Sakurai,H.Et al.: "Transcription Regulation in Eukaryotes"Human Frontier Science Program Press,Strasbourg France. 222 (1999)