1999 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母の減数分裂初期に特異的に発現する新規遺伝子産物の機能の解明
Project/Area Number |
11780512
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鍋島 建太郎 大阪大学, 微生物研究所, 助手 (60294120)
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Keywords | 減数分裂 / 相同組み換え / 相同染色体対合 / 染色体核内配置 |
Research Abstract |
本研究では分裂酵母の減数分裂特異的に転写誘導される遺伝子の一つとして単離されたmeu13+遺伝子産物の機能解析を分子遺伝学・細胞生物学的な手法を用いて行った。meu13+遺伝子は216アミノ酸のタンパク質をコードし、出芽酵母、マウス、ヒトに高い相同性を示すタンパク質が見つかっている。これらのタンパク質はいずれも減数分裂期に特異的に発現し、meu13+遺伝子との機能的類似性が予想される。 meu13遺伝子を欠失させた分裂酵母株を作成し、この株では減数分裂期に胞子形成異常および第一減数分裂での染色体不均等分配、減数分裂前期の進行の遅延が見られることを確認した。この表現型は減数分裂期の相同組み換えへの関与を示唆していたので、遺伝学的解析を行ったところ、交差による相同組み換えの頻度が野生株の1/10に減少しているのを見いだした。この原因として相同染色体の配置および対合の異常を考え、Meu13がこの過程に関与するかをFISH法等を用いて詳細に調べた。減数分裂前期にmeu13遺伝子欠失株ではアーム部位での相同染色体の対合が野生型に比べて有意に低下していた。またGFPによる染色体ラベル法を用いて生細胞での減数分裂前期の染色体上の相同領域の対合過程を観察することに成功した。これは対合がダイナミックに起こることを示した初めての報告である。そしてmeu13遺伝子欠失株ではこのダイナミクスが変化してることを見いだした。さらに相同染色体の核内配置についても詳細に検討し、分裂酵母では初めて染色体の直線的な配置を明らかにし、meu13遺伝子欠失株ではこの過程に異常が認められることを見いだした。このような研究成果を国際学界(4th European Meiosis Meeting,Obertraun,1999)、国内学会(第22会日本分子生物学会,1999)等で発表し、現在投稿準備中である。
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