1999 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期に依存したMCM2およびMCM3の核移行活性の制御
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11780513
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保田 弓子 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50311767)
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Keywords | MCM複合体 / 核内輸送 / 核外輸送 |
Research Abstract |
細胞を増殖が停止する条件下に長時間置くと、MCM蛋白質は細胞内より消失することが知られている。このとき、MCM蛋白質がどの様にして核より消失するかを調べるために、マウス血球系培養細胞MEL細胞を用いて、MCM蛋白質の細胞内分布の変化を調べた。MEL細胞は、DMSOなどによる刺激によって赤血球への分化が誘導されることが知られている。DMSO添加後、約3日で細胞の増殖は停止し、それに従って核内に存在するMCM3の量も減少した。抗MCM3抗体を用いた間接蛍光抗体法によって、MCM3は、分化刺激後、複製中の核から細胞質に移行することが見出された。このことから、MCM蛋白質のうち、少なくとも一部は核外に移行してから分解されると考えられる。分化刺激後約10日で、MCM3蛋白質はほとんど検出されなくなったが、DMSOを除くと、約12時間で速やかに核内に蓄積された。以上のことから、MCM蛋白質は、哺乳類細胞においても条件的な核輸送を示すと考えられる。そこで、MCM蛋白質の核輸送について更に詳しく調べるために、大腸菌でヒト組換えMCM3(hMCM3)蛋白質を発現させた。hMCM3は明らかな核移行配列(NLS)をそのC末端に有するが、HeLa細胞核への蓄積は見られなかった。しかしながら、アフリカツメガエル卵抽出液中で、精子核から形成させた核には活発な核移行を示すことから、組み換え蛋白質のNLSは活性であり、かつNLS受容体に認識されうる状態にあると考えられた。hMCM3をN末端より欠失させていくと、424アミノ酸の欠失では、全長と同様、核内への積極的な蓄積は見られなかったが、更に508アミノ酸まで欠失させると、一転して核内に効果的に蓄積された。以上の結果から、hMCM3は、424-508アミノ酸の間に核内への蓄積を阻害する配列、おそらく核外移行を促進するような配列が存在するものと考えられた。
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