1999 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア蛋白質輸送に関わる細胞質因子並びに膜透過装置の解析
Project/Area Number |
11780515
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小宮 徹 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40304802)
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Keywords | ミトコンドリア / 細胞質因子 / 蛋白質輸送 / シトクロムC |
Research Abstract |
本計画の目的は、ミトコンドリア蛋白質輸送に関わる細胞質因子並びに膜透過装置の詳細な解析を生化学的並びに分子生物学的に行ない、各因子の機能を明らかにすることである。今年度は以下の結果を得た。(1)ラットに於ける新規外膜受容体OM37を固定した。OM37のcDNAは338アミノ酸残基からなる分子量38.2kDの蛋白質をコードしており、N末側に17アミノ酸残基の膜貫通領域を1箇所含んでいた。この蛋白質はミトコンドリア外膜に局在し、C末側を細胞質に露出するトポロジーを形成していた。また、抗OM37抗体によって前駆体分子の輸入が阻害された。以上の結果は平成11年度生化学会大会に於いて報告した。(前田ら、投稿準備中)(2)外膜チャネル因子Tom40のラットホモログを同定した。ジギトニンを用いて外膜を可溶化した後免疫沈降を行なった結果、Tom40は外膜受容体Tom20とは共沈するが、OM37とは共沈しないことがわかった。更にジギトニンで可溶化した外膜を再構成すると前駆体分子は膜透過されたが、抗Tom40抗体で可溶化外膜からTom40を除去した外膜を用いて再構成を行なった場合では膜透過されないことが分かった。以上の結果は平成11年生化学会大会に於いて報告した。(鈴木ら、投稿準備中)(3)シトクロムCの輸出を促進する細胞質因子として、20Sプロテアソームを同定した。アポトーシス刺激を受けてミトコンドリア膜間スペースからシトクロムC等が細胞質に輸出することが報告されているが、その輸出過程の詳細な解析はなされていない。今回、in vitroに於いてこの輸出反応系を構築し、シトクロムCの輸出反応に関する生化学的な解析を行なった。輸出は細胞質、スタウロスポリン、dATP(あるいはATP)に依存しており、シトクロムCに特異的であった。細胞質因子を精製したところ、20Sプロテアソームであることがわかった。従って、アポトーシスを誘導する刺激によってシトクロムCを輸出する際、プロテアソームが関与することが示唆された。以上の結果は平成11年生化学会大会に於いて報告した。(小宮ら、投稿準備中)
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