1999 Fiscal Year Annual Research Report
小脳における抑制性神経回路網の形成および維持調節機構の形態学的解析
Project/Area Number |
11780544
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高山 千利 北海道大学, 医学部, 講師 (60197217)
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Keywords | 小脳 / 抑制性神経回路網 / ミュータントマウス / GABA_A受容体 / in Situ hybridization / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
研究代表者は、マウス小脳を材料とし、形態学的手法を用いて、抑制性回路網形成機構を解析している。 1 これまでの研究結果 小脳発達にともなう抑制性回路網の形成とGABA_A受容体サブユニット(特にαファミリー)の発現局在との関係を検討した。その結果、mRNAはシナプス形成に先立って発現を開始するが、シナプス形成と供に急激に発現量を増した。受容体蛋白質は、回路形成に伴って抑制性のシナプス後部に局在するようになった。 2 今年度の研究 正常発生の過程でみられたGABA_A受容体サブユニットの発現と局在が、異常な細胞環境および異型の入力が存在した場合に変化するか否かを解析した。 3 リーラーミュータントマウスを用いた解析 リーラーマウスでは、reelin蛋白質の欠損または機能異常によって神経芽細胞の移動が障害され、中枢神経系の皮質構築に著しい異常が生じる。小脳においては、プルキンエ細胞に顕著な位置異常が認められ、白質の深層小脳核との間に形成された深部細胞塊では、多種類の神経細胞が無秩序に存在し、異常な神経回路網が形成されている。この異常な細胞環境、神経入力のある場所におけるGABA_A受容体の発現局在を解析した。 その結果、mRNAの分布は正常成熟マウスと変化無く、プルキンエ細胞にα1サブユニット、顆粒細胞にα1とα6サブユニットの発現が認められた。この2種類のサブユニット(α1とα6)については、免疫組織化学的手法により局在を検討したが、いずれも、抑制性終末と一致していた 4 結論と考察 GABA A受容体サブユニットの発現は、環境の影響を受けにくく、細胞固有の発現パターンを維持する。 抑制性終末のシナプス後部に一致して局在することにより、抑制性終末からの何らかの因子によって局在が抑制されていると考えられた。
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