1999 Fiscal Year Annual Research Report
視交叉上核内アストロサイト発生に対する機能形態学的アプローチ
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11780548
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
玉田 善堂 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (60254364)
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Keywords | 視交叉上核 / 概日リズム / アストロサイト / GFAP / Vimentin |
Research Abstract |
以下に本年度の研究成果および進行状況について報告する。 1)出生直後ラット胎児の両側眼球を摘出し網膜からの神経投射を遮断したモデルを作成後、これらのラットの各発育ステージにおけるvimentin及びglial fibrillary acidic protein(GFAP)の特異抗体を用いた免疫細胞化学を行い、網膜からの視神経入力のアストロサイト発育に及ぼす影響について検索した。P0で眼球摘出したものを実験群、眼球摘出を行わずそのまま発育させたものを対照群とした。対照群においてはRadial gliaのマーカーであるvimentinは胎生20日にすでに視交叉上核(SCN)を含む視床下部全域に認められたが、生後6日(P6)には完全に消失した。しかしながら実験群においてはP50のステージにおいてもSCN全域に認められた。ラットSCNにけるGFAP免疫陽性を呈するアストロサイトの発育は通常、P3-P4及びP20-P25において急激な増加を示す3段階の発育パターンを示す。実験群においてGFAP免疫反応性は全体的に低下し、P20-P25の増加傾向が認められなかった。また、P50における電子顕微鏡による検索の結果、実験群においてはSCN腹側部におけるニューロン間におけるアストロサイトの突起の介在が認められず、隣接するニューロン間にdirect appositionが高頻度に形成されていた。以上の結果から、SCNにおけるアストロサイトの発育には視神経入力が不可欠な要素であることが示唆された。2)次に成熟ラット及びゴールデンハムスターにおけるアストロサイトの分布について画像解析装置を用いて定量的に解析した。GFAP免疫反応を単位面積あたりのoptical densityとして算出した。その結果、GFAP免疫反応陽性を呈するastroglial elementsは、両種共において網膜からの網膜視床下部路(retinohypothalamic tract)が密に存在する領域に多く存在することが解明された。これらの成果は、現在、投稿中である。
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