1999 Fiscal Year Annual Research Report
内因性プロテアーゼインヒビター発現によるグリア細胞の分化誘導機序の解明
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11780567
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
岩崎 靖乃 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40311196)
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Keywords | グリア / アストロサイト / シスタチンC / 分化 / システイン プロテアーゼ / GFAP / GLAST |
Research Abstract |
シスタチンCは、GFAP(アストロサイト特異的な遺伝子)プロモーターの活性化を指標に単離してきた分子である。しかし、実際にシスタチンCがアストロサイトの分化に関わっているかどうか、また関わっているとすれば、どのような作用機序なのか全くわかっていなかった。まず、シスタチンC強制発現用のレトロウィルスを調整し脳初代培養細胞に感染させてみたが、感染細胞のアストロサイトヘの分化は有意に誘導されなかった。しかし、培養皿全体ではアストロサイトの分化が誘導されていたことから、シスタチンCは分泌されて作用すると考えられた。そこで市販のシスタチンCを用い、培養細胞への添加実験を行ったところ、高濃度では細胞毒性が現れるが、0.1〜0.5ug/mlのレンジで濃度依存的にアストロサイトの分化が認められた。また、シスタチンCmRNAの脳内局在をマウス胎生12日目から成体にかけて解析した。生後の発現はGFAPの発現分布と一致しており、既知の報告通りアストロサイトヘの発現が確認された。胎生期においては、シスタチンCの発現は脳室層(VZ)の細胞に認められるが、その発現開始時期や分布様式は領域によって全く異なっていた。特に延髄から脊髄にかけては、胎生12日目にVZ腹側に局在してシグナルが検出されたが、大脳皮質では発現が遅く胎生16日目の脳室下層(SVZ)に斑状に陽性細胞が検出された。早期アストロサイトのマーカーとしてグルタミン酸トランスポーター(GLAST)を用い比較してみると、GLASTの発現がシスタチンCの発現に先行しているが全体によく一致しており、シスタチンCも早期アストロサイトに発現していることが明らかになった。しかし、領域によっては両分子が相補的に発現している所も有り、この発現の違いがグリア細胞の多様性に関連している可能性が示唆された。
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