2000 Fiscal Year Annual Research Report
内因性プロテアーゼインヒビター発現によるグリア細胞の分化誘導機序の解明
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11780567
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
岩崎 靖乃 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40311196)
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Keywords | アストロサイト / グリア / プロテアーゼ / プロテアーゼインヒビター / 神経幹細胞 / 細胞分化 |
Research Abstract |
我々は新たなグリア分化誘導因子を単離する目的でGFAPプロモーターの活性化を指標に生後12日のマウス全脳cDNAライブラリーのスクリーニングを行い、システインプロテアーゼの内因性インヒビターであるシスタチンC(CysC)を単離した。Northern blot解析、及びにin situ hybridization解析によりCysCが胎生期の12日目から脳に発現しアストロサイトの細胞系譜ともよく重なっている事が明らかになった。CysCの分化誘導活性を検証する目的で、ラットO-2A前駆細胞株であるCG4を用い細胞培養液中にCysCを添加する実験を行った結果、有意にGFAP+細胞数の増加が認められた。同様の活性が他のシステインプロテアーゼインヒビター(E64)でも示されたことからCysCはシステインプロテアーゼを阻害することによりグリアの分化を誘導していることが明らかになった。また、胎生14日齢マウスの大脳皮質の培養細胞を用い無血清下でCysCの添加実験を行った。この系においてもGFAP+細胞数の増加が見られたが、その効果は細胞密度の高い所でより強い傾向があった。そこで、CysCがアストロサイトを誘導するには細胞間の相互作用の保持されている事が重要ではないかと推定し、Neurosphereの系を用い検証することにした。CysCにさらされたNeurosphereでは長い突起を持ったGFAP+細胞の増加がみられ、これまでの検出系に比べより強い効果が得られた。以上の結果はCysCが細胞間の相互作用機構を介してアストロサイトの発生を調節している可能性を示唆している。
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