1999 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンD_2によるアデノシン遊離の調節と睡眠誘発機構について
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11780569
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
望月 貴年 財団法人 大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (40263933)
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Keywords | プロスタグランジンD_2 / DP受容体 / アデノシン / マイクロダイアリシス法 / 睡眠 / 吻側前脳基底部 / くも膜下腔 |
Research Abstract |
プロスタグランジン(PG)D_2は強力な睡眠誘発作用をもつ内因性物質である。これまでの当研究グループの検討により,PGD_2はラットにおいて吻側前脳基底部の脳膜組織に作用し睡眠を誘発すること,またPGD_2投与による睡眠増加はアデノシンA_<2A>受容体アンタゴニスト前処置で抑制されることなどが明らかとなった。本研究では,PGD_2による睡眠誘発の作用機構を明らかにするため,ラット吻側前脳基底部くも膜下腔における細胞外アデノシン量をマイクロダイアリシス法を用いて測定し,睡眠誘発に関わるPGD_2とアデノシンとの機能的関連を明らかにする。本年度はウレタン麻酔条件でくも膜下腔におけるアデノシン量を測定し,PGD_2投与による細胞外濃度の変化を調べた。くも膜下腔におけるアデノシンの基礎遊離量は0.70±0.06pmol/20分であった。PGD_2 (100-400pmol/分)およびPGD_2受容体(DP受容体)の選択的アゴニストであるBW245C(400 pmol/分)の同部位への投与はアデノシン量を用量依存性に基礎遊離の2.2倍にまで増加したが,代謝物であるイノシン,ヒポキサンチン量に顕著な変化は見られなかった。また,PGD_2投与により誘発されるアデノシン量の増加は,DP受容体アンタゴニストであるBW A868C(0.1,1mg/kg,iv)の前処置により用量依存性に拮抗された。以上の結果は,PGD_2が前脳基底部くも膜下腔のアデノシン量をDP受容体を介して増加することを示し,このアデノシンの増加により同部位の神経回路が影響を受け,睡眠調節に関わる神経群の活動が亢進することが強く示唆される。来年度はくも膜下腔でDP受容体の刺激によりアデノシン量を調節する機構の解明と共に,この増加とPGD_2による睡眠誘発との相関を無麻酔非拘束条件で検証する。
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[Publications] T.Mochizuki: "Prostaglandin D_2 increases extracellular levels of adenosine in the subarachnoid space of rats"Sleep Research Online 1999. 2・Suppl.1. 153 (1999)
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[Publications] T.Mochizuki: "A somnogen, prostaglandin D_2, increases adenosine levels in the subarachnoid space of rats"Soc.Neurosci.Abstr.. 25・Part 2. 1615 (1999)