1999 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系ニューロン分化・神経回路網形成における形態形成因子Wnt7aの機能解析
Project/Area Number |
11780578
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
見学 美根子 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10303801)
|
Keywords | Wnt / Frizzled / 細胞極性 / 中枢神経系ニューロン |
Research Abstract |
脊椎動物の神経細胞は、情報の入出力のために樹状突起・軸索・シナプス終末等の明確な極性を持つ機能構造を形成し、高度に分極化している。本研究は、無脊椎動物の細胞極性を制御するWntファミリー遺伝子が、脊椎動物中枢神経ニューロンの極性形成を制御する可能性を検証することを目的とする。まず発達中の中枢神経系におけるWnt遺伝子群、受容体群(Frizzled)およびシグナル伝達因子Dishevelledの分布を、in situ hybridization法で解析した。その結果、Wnt3,Wnt7a,Wnt7bおよびFrizzled2,3,6,7がそれぞれシナプス形成期の特定のニューロンに一過的かつ特異的に発現していることが明らかになった。Dishevelledは生後数日の中枢神経系全体に広く分布するが、成体では発現はほぼ消失した。これらの結果はWntシグナルが中枢神経系ニューロンの機能分化に関与する可能性を示唆する。Wnt7aは発達期の小脳顆粒細胞に特異的に発現しているので、顆粒細胞の機能発現にWnt7aがどの様に関与するかを、ノックアウト動物を用いて解析した。その結果小脳形態および歩行、姿勢制御などの小脳機能は野生型と比べて有意な差は認められず、Wnt7aが顆粒細胞の分化に必須であることを示す結果は得られなかった。また中枢神経系で強く発現しているFrizzled2および7に特異的なペプチド抗体の作成を試みた。その結果、ウエスタンブロット法で単一のバンドを認識する抗体が調整された。今後はFrizzledの神経細胞における局在と、大脳皮質の一部の層に特異的に発現するWnt7bの機能に焦点を絞り、解析して行く予定である。
|
Research Products
(1 results)