1999 Fiscal Year Annual Research Report
エンゼルフィッシュ仔魚の遊泳運動発達における網様体-脊髄ニューロンの役割
Project/Area Number |
11780582
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 将之 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (70253119)
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Keywords | 遊泳運動 / 網様体ニューロン / 神経行動学 |
Research Abstract |
1,下降性網様体ニューロンの形態的発達 脊髄から網様体ニューロンを逆行性標識したところ。仔魚の成長に伴い標識されるニューロン数が増大することが明らかとなった。さらに、標識された網様体ニューロンは菱脳内で吻尾方向に階段状に配列していた。脳切断実験の結果から、仔魚の発生が進むにつれてより上位の網様体ニューロンの関与が増大してくることが示唆された。一方網様体ニューロンはより吻側に位置するものから下降性投射を発達させる傾向があり、これは脳切断実験の結果と一見矛盾する。しかしながら、成長の進んだ仔魚において遊泳の誘発に関わるのは中脳網様体の内側縦束核ニューロンであることから、この神経核の機能的発達に重要な要因があると解釈される。ほかの網様体ニューロンは脊髄内神経活動を修飾する機能を持つことが示唆された。 2,網様体ニューロン活動と遊泳運動発現との関連 仔魚は、様々な刺激により遊泳運動を発現するが、その中でも環境光量の急激な減少(減光)刺激が実験条件での遊泳誘発に適していた。減光刺激は松果体で受容され、脊髄内の遊泳回路を賦活する。脳幹より神経活動を導出したところ、この賦活経路は網様体を経由することが示唆された。特に注目される領域は中脳網様体の内束縦束核であり、脂溶性蛍光色素による標識により、内束縦束核付近に松果体神経節細胞からの密な投射が観察された。また、活動記録から、網様体から脊髄への経路は内束縦束を通ることが示唆された。網様体付近で記録された神経活動には、遊泳開始時に集中的に活動するニューロンと、遊泳期間中低頻度で発火を続けるニューロンが観察された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Yoshida,M.Fudoji,H.Sakamoto,K.Uematsu: "Posthatching development of spinal motoneurons in the angelfish Pterophylium scalare"Brain,Behavior and Evolution. 53・4. 180-186 (1999)