1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11780583
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
谷口 睦男 高知医科大学, 医学部, 助手 (10304677)
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Keywords | 副嗅球 / 鋤鼻器 / フェロモン / 相反性シナプス / パッチクランプ / 電気生理学 |
Research Abstract |
1.マウス副嗅球スライスを用いた研究 シナプス伝達の可塑的変化を調べる上で、そのシナプスの性質を知ることは必要不可欠である。当年度はマウス副嗅球の相反性シナプスの性質を調ベ、以下の結果を得た。 (1)僧帽細胞の電気生理学的性質 副嗅球僧帽細胞の静止膜電位は、-53.5±3.5mV(平均値±標準誤差、以下同様)であり、嗅球僧帽細胞の静止膜電位(一60.3±3.7mV)と有意な差はなかった。一方、膜電位固定下で脱分極刺激を与えた場合に生じる内向きNa電流の大きさは、副嗅球僧帽細胞の場合が-3.68±0.63nAであり、嗅球僧帽細胞の場合(-1.18士0.16nA)の約3倍であることがわかった。この差が持つ生理的意義については現在検討中である。 (2)マウス副嗅球の相反性シナプス伝達の性質 僧帽細胞に脱分極刺激(+70mV、5ms)を与えると、この僧帽細胞と相反性シナプスを形成している顆粒細胞が興奮して抑制性シナプス電流を発生する。この抑制性シナプス電流の総和を記録したところ、生理的条件下では一40.5±6.7pA・秒であり、細胞外液中のMg^<2+>を取り除くことにより-122.2士6.7pA・秒に増大した。この結果は相反性シナプス中のNMDA受容体がMg^<2+>による抑制から解除されることによるものと考えられる。したがって、マウス副嗅球の僧帽-顆粒細胞間の相反性シナプスは、従来から報告されている嗅球の相反性シナプスと同様にMg^<2+>感受性を有することが電気生理学的に明らかになった。 2.培養下の僧帽細胞および顆粒細胞でのシナプス形成と可塑性 ラット胎仔副嗅球の初代培養を試み、電気生理学的活性(各種シナプス電流、脱分極刺激に対する内向き電流応答)を有し、僧帽細胞および顆粒細胞に特徴的な免疫染色反応を有する細胞を得ることに成功した。この培養僧帽細胞の自発性シナプス電流(本実験条件下では、顆粒細胞からの入力を反映する)に対する30μM noradrenalineの効果を膜電位固定下で調べた。調べた7個の細胞全てにおいて、自発性シナプス電流の発火頻度が抑制された(51±15%;n=3)。本実験結果は、記憶形成時においてノルアドレナリンが顆粒細胞から僧帽細胞への抑制性シナプス伝達を抑制するという我々の説を強く支持した。
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