1999 Fiscal Year Annual Research Report
細胞工学的手法を用いたグリアーサブセットの選別と移植する損傷中枢神経の再生促進
Project/Area Number |
11780585
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池島 宏子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60265783)
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Keywords | 中枢神経系 / 再生促進 / 再生抑制 / 移植 / アストログリア / テネイシン / プロモーター / HSV-TK |
Research Abstract |
本研究は、中枢神経系の再生に抑制的に作用するテネイシン陽性アストログリアを選択的に破壊して、再生に促進的に働くテネイシン陰性アストログリアを回収し、損傷を与えたマウス脳内に移植して中枢神経系の再生におけるアストログリアの機能を明らかにすることを目的としている。将来的には、損傷を受けた中枢神経系の再生促進手段の開発を目指している。その第一段階として、まず幼若アストログリアにおけるテネイシン遺伝子のプロモーター領域を決定した。すでに報告されているマウステネイシン遺伝子の配列を元に、マウスジェノミックライブラリーよりテネイシン遺伝子の5'-上流領域、約4.2kb(-4028から+243まで)を得た。マウス幼若アストログリアの初代培養系において、マウステネイシン遺伝子の十分な転写活性を持つプロモーター領域を見出すために、長さの異なる8種類の上流領域欠失変異体を作成した。各上流断片の下流に、レポーター遺伝子としてホタルルシフェラーゼ遺伝子をつなぎ、幼若アストログリア初代培養系へ導入した。その結果、アストログリア特異的な発現調節領域を見出した。このような、幼若アストログリアの初代培養系におけるテネイシン遺伝子の転写調節領域の解析は、今回我々によって初めて見出された知見である。次に、このプロモーター領域の下流にヘルペスシンプレックスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)をつないで、幼若アストログリア初代培養系へ導入した。その後、この細胞をパラホルムアルデヒドで固定してテネイシンに対する抗体とHSV-TKに対する抗体とで二重染色した。その結果、テネイシンを強く発現している細胞においてのみHSV-TKの発現が認められた。 今後、ガンシクロビルの指摘濃度を決定したのち、テネイシン陽性アストログリアを選択的に破壊して、テネイシン陰性のアストログリアを選別することを検討して行く予定である。
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