2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11780593
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松本 直幸 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (00252726)
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Keywords | 大脳基底核 / 線条体 / 順序運動 / 運動学習 / 運動手続き |
Research Abstract |
ある特定の順序からなる視覚誘導型のボタン押し課題を学習中のサルの線条体からは、筋活動と相関を持った活動を示す細胞(実行型)と特定のボタン押しや順序などの運動手続きに相関を持つ細胞(手続き型)が記録され、学習が進み次第にスムースなボタン押しが獲得されるにつれて後者の細胞群が増加してくることを昨年報告した。素早くかつスムースなボタン押し運動を行うには、運動を予測的に行う必要があり、本年度は手続き型の細胞の活動と運動の予測性との関係を調べる実験を行った。同じボタン押しであっても予測性を変えることが可能なボタン押し課題をサルに学習させた。すなわち、動物はまず最初に光の点灯に従ってボタン押しを行い(VIS課題)、次の試行では同じ順序のボタン押しを記憶に従って遂行する(REM課題)。REM課題では次のボタンがどれであるかがあらかじめわかっているため、反応時間は次のボタンが予測不能なVIS課題と比べて有意に短縮する傾向にあった。このときREM課題で強く活動する細胞についてその活動の大きさと反応時間の関係を調べると、REM課題で大きく反応時間が短縮するボタン押しの組み合わせでは強い活動を示し、わずかな短縮しか示さないボタン押しの組み合わせでは活動が減弱した。各試行毎の反応時間と、そのときの細胞の発火頻度との相関を調べると、様々なボタン押しの組み合わせ全てを用いて相関を求めると両者には負の相関が見られたが、同じ組み合わせのボタン押しにおける反応時間のばらつきと細胞の活動の大きさには相関は見られなかった。このような細胞の活動は反応時間そのものと直接関係しているのではなく、動物がどの程度の予測性を持って運動を遂行しているかという予測性の大きさを反映していると考えられる。したがって、線条体で運動の予測性を反映していると考えられる細胞を初めとする運動手続きに関与する細胞が次第に増加してくることが、予測的でスムースな運動を獲得することに必須の関与をしていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kimura Minoru: "Functional connectivity among striate neurons of monkeys performing motor sequences."Neuroscience Research. Suppl.24. S43 (2000)
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[Publications] Minamimoto Takafumi: "Contrasting properties of neuron activity in the primate CM and PF thalamus during learned behavioral tasks."Society for Neuroscience Abstract. 26-1. 682 (2000)
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[Publications] Matsumoto Naoyuki: "Neurons in the thalamic CM-Pf complex supply striatal neurons with information about behaviorally significant sensory events."Journal of Neurophysiology. 85. 960-976 (2001)