2000 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴデンドロサイトにおける内向き整流性カリウムチャネルの制御と細胞死との関連
Project/Area Number |
11780594
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00305525)
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Keywords | アポトーシス / シグナリング / オリゴデンドロサイト / 脱分極 / セラミド |
Research Abstract |
中枢神経の髄鞘形成細胞オリゴデンドロサイト(OLGs)において、TNFレセプターへのリガンド結合によってスフィンゴミエリナーゼが活性化され、セラミドが作られることによって細胞死が誘発される。我々は、アポトーシス過程においてp38MAPKの活性化が重要であることを証明し、またセラミドによるRas-Raf-1を介した内向き整流性カリウム電流(I_<Kir>)の抑制メカニズムを明らかにしてきた。近年MAPKレベル(p38/ERK)とチャネルとの相互作用が報告されているので、セラミドによるI_<Kir>抑制とp38MAPKの活性化との関係、及びOLGsにおいてI_<Kir>抑制がどのように細胞死メカニズムに関与しているのかを解析した。 p38MAPK阻害剤のSB203580前処置によりセラミドのI_<Kir>抑制作用が減弱し、またアンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense-ODNs)を処置し蛋白発現を抑制させたところセラミドによるI_<Kir>の抑制は認められなかった。またERK2阻害剤やantisense-ODNsを用いた同様な実験ではI_<Kir>抑制は認められなかったので、OLGsにおいてp38MAPKの活性化がI_<Kir>抑制メカニズムに関与していることを明らかにした。一方、Ba^<2+>の細胞外投与によるI_<Kir>抑制によりOLGsのアポトーシスが誘発されることがTUNNEL染色により明らかになった。細胞外K^+の上昇によっても同程度のアポトーシスが誘発されるので、細胞の脱分極によってもアポトーシスが誘発されることが考えられた。Ba^<2+>により30分間脱分極刺激を与えたときにもアポトーシスが誘導されたことから短時間の脱分極によりアポトーシスのシグナルが動くことがわかった。以上よりOLGsにおけるセラミドによるアポトーシス過程において、p38MAPKの活性化とそれによる細胞の脱分極が重要であることがわかった。
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