2000 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた体性感覚野ヒゲ関連パターン形成の分子機構の研究
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11780606
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩里 琢治 理化学研究所, 行動遺伝学技術開発チーム, 研究員 (00311332)
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Keywords | 発達期可塑性 / マウス発生工学 / 大脳皮質 / 体性感覚野 / バレル / 条件的遺伝子ノックアウト / Cre / loxPシステム / NMDA受容体 |
Research Abstract |
高等動物の脳の生後発達において外界からの刺激が重要な役割を持つ。マウスなどのげっ歯類の大脳皮質体性感覚野では、主要な体性感覚器であるひげの分布に応じた特徴的なニューロンのパターン(バレル構造)が生後1週間に形成される。このパターンの形成、修飾は外界からの刺激に依存する脳発達のモデルとして注目されている。バレル形成における、NMDA型グルタミン酸受容体(NMDA受容体)の関与については、永年議論されているがいまだ決着していない。本年度は、大脳皮質特異的にCre組み換え酵素を発現するEmx1-Creマウス(昨年度実績報告書)とNMDA受容体のNMDAR1サブユニットを2個のloxPで挟んだ構造を持つflox NMDAR1マウスを交配した。その結果として得られたマウスが、大脳皮質特異的NMDA受容体欠損(CxNR1KO)マウスであることを、分子生物学的、生化学的、電気生理学的な手法によって確認した。バレル形成について組織学的解析を行い、CxNR1KOマウスでは(1)ヒゲの配列に対応した、視床から大脳皮質への軸索投射のパターン(バレルのシナプス前要素)が形成はされるが、不完全である、(2)大脳皮質の神経細胞の細胞体の配列のパターン(バレルのシナプス後要素)は全く形成されないということを見つけた。このことは、バレル形成における大脳皮質NMDA受容体の働きを初めて明らかにするとともに、それが、シナプス前と後の二つの機構に分離できることをはじめて示すものである。
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Research Products
(1 results)