2000 Fiscal Year Annual Research Report
スナネズミにおける体外受精法の検討と精子および卵子の凍結保存法の確立
Project/Area Number |
11780607
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
持田 慶司 国立感染症研究所, 獣医科学部, 研究員 (60312287)
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Keywords | スナネズミ / 体外胚培養 / 顕微授精 / 精子凍結保存 / 卵子凍結保存 / 精子運動性 |
Research Abstract |
1.スナネズミ1細胞期胚からの体外培養法の検討:初期の胚の発育にはグルコースとリン酸が阻害的に働く事が確認された。また、摘出した卵管内へ再び導入した器官内培養、サル卵管上皮細胞との共培養、37℃・6.2%CO_2下での培養により胚の発育率が向上したが、培養液の量や胚の密度などの要因によっても影響を受けることが理解された。2.顕微授精法の検討:精子頭部を卵子細胞質内へ直接導入する顕微授精(ICSI)由来の胚の発生能を調べた。胚移植により桑実胚および胚盤胞へ発育したものの、233個の胚を16匹の受容雌へ移植したが全く着床は認められなかった。3.精子および卵子の凍結方法の検討:精巣上体尾部から採取した精子をマウスの方法に準じて18%ラフィノース3%スキムミルク液にて凍結保存後融解したところ、約1-5%の精子に運動性が認められた。これらは精子頭部がかぎ状構造をしており、凍結-融解操作によりかぎ状構造が壊れるほどのダメージを受けた精子は運動能力を失う事が推察された。また卵子をマウスの方法に準じてエチレングリコールおよびDMSOベースの耐凍剤を用いて凍結-融解したところ、回収された卵子の10-52%が形態的に正常と判断され、卵子凍結の可能性が示唆された。 4.まとめ:スナネズミ胚は体外での環境の変化に影響を受け易く、多くの要因によってその発育が阻害されてしまう。顕微授精法の導入により体外での受精率は飛躍的に増大したが着床には至らなかった。精子・卵子共にマウスに準じた方法での凍結保存が可能とは思われたが、最適な条件を模索していくことが必要であった。以上一連の研究において、生物全般の受精機構や胚の発生に必要な要因を研究していくためにスナネズミは重要な動物種である事が再認識された。
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[Publications] Ogura,A.,Inoue,K.,Ogonuki,N.,Suzuki,O.,Mochida,K.,Matsuda,J.,and Sankai,T.: "Recent advances in the microinsemination of laboratory animals."International Journal of Andrology. supplment23. 60-62 (2000)
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[Publications] Mochida,K.,Wakayama,T.,Nakayama,K.,Takano,K.,Noguchi,Y.,Yamamoto,Y.,Suzuki,O.,Ogura,A.and Matsuda,J.: "Successful cryopreservation of Mongolian gerbil embryos by vitrification"Theriogenology. 51(1). 171 (1999)