1999 Fiscal Year Annual Research Report
様々な高分子基板上に培養した動物細胞による抗原並びにインターフェロンの高生産法
Project/Area Number |
11780631
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
原 万里子 成蹊大学, 工学部, 助手 (30311997)
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Keywords | CEA(癌胎児性抗原) / ラングミューアー・ブロジェット / 高分子基板 / インターフェロン |
Research Abstract |
CW2細胞を用いていかなる培養環境(培養用高分子基板並びに化学(毒性)物質を添加した培地)が癌胎児性抗原(CEA)の生産性を増大させるかを検討した。様々な化学物質濃度における単位細胞、単位時間当たりのCEA生産量の関係は、アスピリン並びにカフェイン添加系においてCEA生産量が無添加系より増大し、添加化学物質濃度の増加とともにCEA生産量の増加する傾向が観察された。細胞培養7日目において、5mMアスピリン添加系では、約100倍のCEA生産量の増大を示した。また、9mMカフェイン添加系では約70倍のCEA生産量の増大を示した。このことより、CEA生産量を増大させる添加物質としてカフェインよりもアスピリンの方が優れていると考察した。他の化学物質として、エチレングリコール、チミジン、ヒドロキシウレアを半数致死量を基準に様々な濃度で添加したが、非添加系とほぼ等しいか、それ以下のCEA生産量であった。チミジン及びヒドロキシウレアは、ハイブリドーマ細胞を細胞周期のS期に停滞させることが知られている。一方、カフェインは、ハイブリドーマ細胞をG_1/G_2期の細胞周期に停滞させることが報告されている。このことから、S期でCW2細胞の細胞周期を停滞させるよりは、G_1/G_2期に細胞周期を停滞させる方がCEA生産量の増大に有効であると考察した。以上の添加化学物質として最もCEA生産量を増大させることが示唆されたアスピリンと、細胞接着基板との相乗効果を検討するために、様々な高分子基板上でCW2細胞を培養した。様々な高分子基板上における0、2、5mMもアスピリンを添加した際の単位細胞当たりのCEA生産量を測定した。5mMアスピリン添加系、ポリγ-ベンジルグルタマート・ラングミューアーブロジェット基板では、ポリスチレン基板の約3倍のCEA生産量増大を示し、無添加系の100倍以上の生産量の増大を示した。添加化学物質及び細胞培養基板の相乗効果によりCEA生産量は著しく増大することが示唆された。
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