1999 Fiscal Year Annual Research Report
ポリ乳酸グラフト化多糖の分子構造・集合形態制御による新しい分解性医用材料設計
Project/Area Number |
11780635
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大矢 裕一 関西大学, 工学部, 助教授 (10213886)
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Keywords | 医用高分子材料 / 生分解性材料 / ポリ乳酸 / 多糖 / デキストラン / 両親媒性高分子 / 分子集合体 / 生体適合性 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、アミロースおよびプルランを用いて、有機溶媒に可溶なトリメチルシリル(TMS)化多糖を合成し、そのTMS化多糖の残存水酸基を開始点としてラクチドのグラフト重合を行い、ポリ乳酸グラフト化多糖を合成することに成功した。本年度は、生体材料としての使用を考慮して生体適合性に優れるデキストランを多糖として使用して、ポリ乳酸グラフト化デキストランを合成した。これまでTMS化反応はピリジンを溶媒として塩化TMSを使用していたが、高分子量の多糖では溶解性と反応性に問題があったので、今回は、ホルムアミドを溶媒としてヘキサメチルジシラザンをTMS化試薬として使用して、より高分子量のデキストラン(Mw=1.7×10^4)を用いてTMS化デキストラン(TMS化度は88%および95%)を合成することに成功した。続いて得られたTMS化デキストランとt-BuOKとをTHF中で反応させ、残存水酸基をカリウムアルコキシドに変換した後、ラクチドを加えてアニオン重合し、メタノール-クロロホルム混合用媒による脱保護を経て、ポリ乳酸グラフト化デキストランを合成した。その結果、t-BuOKに対するラクチドの仕込み比により、ポリ乳酸セグメントの長さが制御でき、多糖のTMS化度によってグラフト鎖数が制御できることが分かり、これらの値を種々変化させたものを合成した。 今後、得られたポリ乳酸グラフト化多糖について、水に不溶なものは、キャスト膜などに調製し、その相構造を電子顕微鏡などにより検討する。さらに、止血剤としての応用を意図して、食塩水や血液を添加した時にハイドロゲル様のマトリックスが形成されるかどうか検討する。また、ポリ乳酸含有量の低いものについては、超音波照射や透析などにより可溶性ナノパーティクルを形成するかについて検討を加える。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大矢裕一: "生分解性高分子の現況と新展開"人工臓器. 28巻3号. 582-589 (1999)
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[Publications] 大矢裕一(他1名、1番目): "生分解性バイオマテリアルとしての新しいポリ乳酸系高分子"高分子加工. 48巻12号. 530-534 (1999)
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[Publications] Y.Ohya(他5名、1番目): "Graft Polymerization of Styrene on Chitosan and the Characteristics of the Copolymers"J. Macromol. Sci.-Pure Appl. Chem.. A36巻3号. 339-353 (1999)
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[Publications] Y.Ohya(他4名、1番目): "Preparation of PEG-grafted Chitosan Nanoparticles As Peptide Drug Carriers"STP Pharma Sci.. 10巻1号. 77-82 (2000)
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[Publications] Y. Ohya 他分担執筆: "Biomedical Polymers and Polymer Therapeutics"Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York, USA(印刷中). (2000)