1999 Fiscal Year Annual Research Report
感温性ヒアルロン酸の分子設計とその創傷治癒促進剤、人工細胞外マトリックスへの応用
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11780638
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
大屋 章二 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室員 (80311447)
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Keywords | ヒアルロン酸 / 温度応答性 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / グラフト重合 / 人工細胞外マトリックス / 曇点 / 細胞非接着マトリックス |
Research Abstract |
本研究では、感温性を有する合成高分子と生体材料であるヒアルロン酸とのハイブリッド化により、感温性の機能性ヒアルロン酸を合成し、創傷治癒促進剤への応用と組織構築における人工細胞外マトリックスの要素として応用することを目的とした。 ヒアルロン酸のヒドロキシルメチル基に重合開始剤となるジチオカルバミル基を導入し、さらにN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)中で紫外光照射することにより、PNIPAAm化ヒアルロン酸を合成した(PNIPAAm-HA)。ヒアルロン酸の分子量は原料のヒアルロン酸の分子量により、PNIPAAmの導入量はジチオカルバミル基導入量により、PNIPAAm鎖長は重合条件(照射時間とNIPAAm濃度)により調節可能であった。PNIPAAm-HAが精密に設計できたと言える。 PNIPAAm-HAの水溶液を室温から加温しながら可視光の透過率を経時的に測定し、水溶液の感温性を調べた。PNIPAAmホモポリマーの曇点が約32℃であるのに対し、PNIPAAm-HAの曇点はすべて約34℃であった。PNIPAAm鎖の導入量と鎖長が増加すると、平衡透過率が減少する傾向を示した。PNIPAAm鎖は約32℃で凝縮するが、親水性のヒアルロン酸がPNIPAAm鎖間の凝集を阻害することにより曇点が上昇していると考えられる。 一方、水溶液をガラス上へ塗布、乾燥すると無色透明の膜を形成し、親水性を示した。高分子量のPNIPAAm鎖を有するPNIPAAm-HAの膜上で血管内皮細胞を播種、培養しても細胞が接着しなかった。この膜は細胞非接着マトリックスであると言える。 次年度では、合成したPNIPAAm-HAの創傷治癒促進剤への応用およびPNIPAAm化ゼラチンとの混合による複合人工細胞外マトリックスヘの応用を検討する。
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Research Products
(1 results)