2000 Fiscal Year Annual Research Report
低消費電力で高出力電流を得るカーボンナノチューブ冷陰極電子源の開発
Project/Area Number |
11792003
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
齋藤 弥八 三重大学, 工学部, 教授 (90144203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 佐四郎 伊勢電子工業(株), 技術部・取締役(研究職)
畑 浩一 三重大学, 工学部, 助手 (30228465)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電界放出 / 電子源 / 電界放出顕微鏡 / 多層ナノチューブ / 単層ナノチューブ / アーク放電 |
Research Abstract |
本年度は,種々の雰囲気ガス中で作製した多層カーボンナノチューブの構造,ナノチューブ清浄表面からの電子放出と吸着分子の影響,さらにナノチューブ電界放出エミッターに及ぼす雰囲気ガスの影響の評価を行い,次の成果を得た。 1.多層カーボンナノチューブの成長に及ぼす雰囲気ガスの効果 アーク放電法における多層ナノチューブ(MWNT)の成長に果たす雰囲気ガスの効果を調べた。その結果,酸素および空気中においても,ナノチューブが成長することを見い出すとともに,アモルファス炭素やナノ粒子などの副生成物が少ない純度の高い試料が得られる事を明らかにした。また,これらのチューブは中心空洞が狭いナノグラファイバーと呼ばれる多層ナノチューブの特徴を持っており,電子放出特性に優れていると予想される。 2.ナノチューブ清浄表面からの電子放出と吸着分子の影響 MWNTの清浄表面からの電子の電界放出は,ナノチューブ先端の五員環から優先的に起こる事を見い出し,,さらに隣接する五員環から放出された電子波の間の干渉による縞も観察された.この観察成果は,ナノチューブ先端に五員環が存在すること,およびナノチューブからの電界放出における五員環の重要性を実験的に初めて示した。また,残留ガス分子は五員環位置に選択的に吸着し,それにより電子の共鳴的トンネル効果が起き,電子放出が増強する事を見い出した。さらに,残留ガス分子の吸着脱着に呼応して,放出電流が階段状に変化することを明らかにした。 3.カーボンナノチューブ電界放出エミッターに及ぼす雰囲気ガスの影響評価 圧力10^<-7>から10^<-5> Torrの酸素,水,窒素およびアルゴン雰囲気においてMWCNTからの放出電流の経時変化を測定した結果,放出電流の減少速度は大きい順に,酸素,水,窒素,アルゴンであり,酸素がナノチューブエミッタの寿命に最も悪影響を及ぼすことを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Saito: "Field Emission from Carbon Nanotubes and its Application to Electron Sources"Carbon. 38. 169-182 (2000)
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[Publications] Y.Saito: "Field Emission Patterns Originating from Pentagons at the Tip of a Carbon Nanotube"Jpn.J.Appl.Phys.. 39・4A. L271-L272 (2000)
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[Publications] Y.Saito: "Field Emission of Electrons from Graphitic Nanofibers Produced in a Hydrogen Arc Discharge"Jpn.J.Appl.Phys.. 39・7A. 1468-1473 (2000)
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[Publications] Y.Saito: "Field Emission and Field Evaporation of Carbon Nanotubes"Trans.Material Res.Soc.Jpn.. 25・3. 811-816 (2000)
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[Publications] 齋藤弥八: "カーボンナノチューブからの電界放出とディスプレイデバイスへの応用"応用物理学会誌. 69・3. 314-317 (2000)
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[Publications] 齋藤弥八: "炭素ナノ繊維を用いた電子源および炭素イオン源"材料技術. 18・1. 5-11 (2000)