2001 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯「海洋深層水」の理化学特性と海洋環境への影響評価
Project/Area Number |
11793002
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大森 保 琉球大学, 理学部, 教授 (00045022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 剛 琉球大学, 理学部, 教授 (20045016)
小賀 百樹 琉球大学, 理学部, 助教授 (50153515)
山本 聡 琉球大学, 理学部, 教授 (50124855)
久木 幸治 琉球大学, 理学部, 助教授 (60305183)
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Keywords | 海洋深層水 / 沖縄 / 富栄養 / 清浄性 / 生物効果 / 有機スズ / PCB / 炭酸系化学 |
Research Abstract |
亜熱帯海洋深層水の理化学特性と環境への影響を評価するために以下の研究を行った。 (1)長崎丸を利用した亜熱帯深層水の流動解析 係留系を用いた流向流速の連続観測の結果、沖縄周辺の亜熱帯海洋深層水には、北太平洋中層水の影響があること深層水の流向流速は、潮汐の影響を受けながら太平洋と東シナ海間での海水交換、と沖縄トラフと粟国海盆間での海水交換の影響をうけることが示唆され、亜熱帯深層水の形成のプロセスについて知見を得た。 (2)亜熱帯海洋深層水の理化学的研究 海洋深層水中の栄養塩類と炭酸系の化学を明らかにした。栄養塩類と炭酸系物質の濃度は、表層と中層では沖縄トラフ側で高く、深層水中では太平洋側でやや高い傾向がある。人間活動の炭酸系化学への影響を評価した。 (3)深層水の生物・化学効果: ウニの発生過程への深層水への効果は精子の保存に有効であること、及び生体鉱物(炭酸カルシウム)の結晶成長を抑制することがわかった。深層水の有効利用のための基礎的なデータとなる。 (4)深層水中の有害物質: 海洋深層水中の有機スズ化合物濃度は、7種の化合物を同定した。沿岸域で高く、外洋で低濃度を検出した。現時点では、まだPCB濃度は低濃度であるが、表層よりも下層でやや高い結果を得た。今後監視が必要である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Oomori T. et al.: "Carbonate Chemistry and the Human Impact in Marine Environments around the Ryukyu Islands"The Jour. of Shanghai Fisheries Univ.. 10. 35-43 (2001)
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[Publications] Fujimura H. et al.: "Effect of coral bleaching on the organic and inorganic carbon productions"Galaxea : J. Coral Reef Soc. Jpn.. 3. 41-50 (2001)
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[Publications] Lee Su-Yong, et al.: "Zinc-rich pyrite from the TAG active mound, the TAG hydrothermal field, Mid-Atlantic Ridge"Resource Geology. 51. 63-68 (2001)
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[Publications] Lee Su-Yong et al.: "First report of linnaeite (Co_3S_4) and millerite (NiS) from active submarine hydrothermal deposits : Rainbow hydrothermal field, Mid-Atlantic Ridge at 36° 14'N"Neues Jahrbuch fur Mineralogie, Monatshefte. (in press).
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[Publications] 大森 保: "サンゴ礁海域における二酸化炭素フラックス"「対流圏グローバルダイナミクス」ニュース・レター. 2. (2001)
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[Publications] 澤野健三郎: "沖縄周辺海域の有機スズ化合物のスペシエーションと定量"日本地球化学会年会要旨集. (2001)
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[Publications] 大森 保: "沖縄県における海洋深層水研究の現状と問題点"国際機能水ジンポジウム要旨集. (2000)