2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11793015
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
桜井 弘 京都薬科大学, 代謝分析学, 教授 (30065916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 誠 長瀬産業(株), ビューティーケア, 部長
安井 裕之 京都薬科大学, 代謝分析学, 助手 (20278443)
田和 理市 京都薬科大学, 代謝分析学, 助教授 (80142587)
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Keywords | 太陽紫外光 / 活性酸素種 / 皮膚障害 / 化学発光 / 亜鉛(II)イオン / アスコルビン酸 / カフェー酸 / ヘアレスマウス |
Research Abstract |
昨年度の基礎的研究成果にもとづいて、平成13年度は皮膚傷害防御物質の探索を目的として研究した。方法1には、これまで開発してきた化学発光プローブおよび高感度CCDカメラを備えた微弱光測定装置(NightOWLLB981、ワラックベルトールド)を用いて、生きたままの動物(ddYマウスおよびHR-1ヘアレスマウス)個体の皮膚に紫外線照射(20〜100mW/cm^2を1〜5分間照射)により生成する活性酸素種を防御物質がどの程度抑制するかにより評価した。防御物質には無機化合物と有機化合物を対象として探索した。まず無機化合物として種々の金属イオンを調べたところ、臨床投与量の亜鉛(II)イオンに活性酸素生成抑制効果が見出された。抑制効果は亜鉛(II)イオン濃度に依存したこと、および亜鉛(II)イオンを皮膚に塗布して60〜180分後に除去しても抑制効果が見られた。これらの結果は、亜鉛(II)イオン塗布により、皮膚細胞中に活性酸諸種を消去するタンパク質メタロチオネインが誘導合成されていることを示唆したため、培養細胞系で検討したところ、亜鉛(II)イオンはメタロチオネインを誘導合成することを見出した。現在、亜鉛(II)イオンをヘアレスマウスに注射または経口投与して皮膚傷害抑制効果があるかどうかを研究している。本研究成果は現在論文にまとめつつある。一方、有機化合物についてはポジティブコントロールとしてアスコルビン酸(ビタミンC)を用いて検討すると共に、その誘導体(アスコルビン酸-2-リン酸エステルおよびアスコルビン酸-3-リン酸エステル)の有効性を調べた。この結果、アスコルビン酸と3-リン酸エステルは1〜10mM濃度の塗布で同程度の活性酸素抑制作用を示すことが判った。そこで、次に、これまで我々の研究室で高い活性酸素消去作用を見出したカフェー酸やローズマリー酸等のポリフェノール系化合物をヘアレスマウスに塗布し、活性酸素抑制作用を調べべたところ、濃度依存的な抑制効果を見出した。以上の成果は現在論文にまとめると共に、インビボで投与したときも抑制効果が発現するかどうかを検討している。以上3カ年の研究により、太陽光にもとづく皮膚傷害には活性酸素種が深く関与し、その機構にもとづいて傷害抑制物質を探索したところ、亜鉛(II)イオンおよびカフェー酸誘導体が臨床的に応用可能な物質として提案できた。
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Research Products
(1 results)