1999 Fiscal Year Annual Research Report
海洋微生物の持つバイオパワーを使った食品・医薬品素材の開発研究
Project/Area Number |
11794013
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
児玉 靖司 長崎大学, 薬学部, 助教授 (00195744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 弘師 長崎大学, 薬学部, 教授 (00145674)
小林 信之 長崎大学, 薬学部, 教授 (30150329)
渡邉 正巳 長崎大学, 薬学部, 教授 (20111768)
小田 達也 長崎大学, 水産学部, 助教授 (60145307)
岡市 協生 長崎大学, 医学部, 助教授 (80124874)
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Keywords | 微生物ライブラリー / マンヌロン酸 / グルロン酸 / アルギン酸 / 赤潮プランクトン |
Research Abstract |
本研究は、日本有数の海岸線の長さを誇る長崎県の特徴を活かし、海岸線に沿って海水や海底の泥から微生物を採取して有用な海洋生物資源ライブラリーを構築することにより、最終的にそれを利用した食品または医薬品素材を開発することを目的としている。これまでに、細菌および放線菌を含めて、海洋微生物ライブラリーとして、10,377株を採取した。まず、細菌学的特徴を調べたところ、分離細菌7,258株のうち、494株(6.8%)が寒天溶解性細菌であることが分かった。また、1,476株をスクリーニングして、27株(1.8%)が、アルギン酸分解酵素産生細菌であることが明らかになった。さらに、赤潮プランクトンの一種Chattonella marinaに対して殺藻生を示す細菌を1株同定した。これは、今後の新しい赤潮対策への発展につながる成果である。これらの結果は、構築した海洋微生物ライブラリー中に未知の有用なバイオパワーを持つ菌株が存在することを示している。本年度は、アルギン酸分解酵素を利用して、昆布アルギン酸から構成成分であるポリマンヌロン酸とポリグルロン酸を精製し、それらの癌細胞に対する生理活性について調べた。その結果、ポリマンヌロン酸は、骨肉種由来細胞の運動性とコロニー形成率を抑制する活性があることが分かった。しかし、大腸癌および肺癌由来細胞に対してはこのような抑制効果は見られなかった。この結果は、今後、アルギン酸分解物の構造と癌細胞との相互作用を理解する上で興味深い現象である。
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