2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11800019
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Research Institution | The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo |
Principal Investigator |
河合 雅雄 兵庫県立人と自然の博物館, 館長 (10027477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 千鶴 大阪短期大学, 経営情報学科, 助教授 (80246800)
植村 和彦 国立科学博物館, 地学研究部古生物第二研究室, 室長 (50000138)
田中 里志 京都教育大学, 地学教室, 助手 (00252536)
三枝 春生 兵庫県立人と自然の博物館, 研究員 (70254456)
松原 尚志 兵庫県立人と自然の博物館, 研究員 (30311484)
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Keywords | 哺乳類化石 / 古第三紀 / 神戸層群 / 古地磁気 / 植物化石 / 陸成層 / 堆積学 / アミノドン類 |
Research Abstract |
平成11年度に続き,始新世のサイ類(アミノドン類)の化石を神戸市北区で発掘し,合計3頭に由来する歯と骨の化石が神戸市北区の神戸層群より得られた。これらは,中央アジアの後期始新世に繁栄したZaisanamynodonであることが明らかとなった。これにより,神戸層群はアジアの哺乳類年代区分であるエルギリン期(後期始新世)に相当することが明らかとなった。植物化石が示す年代も,神戸層群の時代は後期始新世であることを示した。一方,今回得られた年代測定結果は4千万年前という年代値を示した。これは哺乳類・植物化石が示す年代も古い。この矛盾を解決するためには,より精度の高い年代測定を行うと同時に,古地磁気層序を確立する必要がある。今回,従来古地磁気資料として使われて来なかった泥岩からも古地磁気方位を得られることが明らかとなった。これにより,精度の高い古地磁気層序を神戸層群において確立する道が開けた。 アミノドン類化石産出地点の堆積相の分析から,扇状地外縁部から下流域の低地帯の沼沢性の堆積物および古土壌中に,アミノドン類化石は埋没したものと推定された。これは,植物化石,貝化石,アミノドン類化石の保存状態から推定される古環境と整合性があった。限られた地点に関する分析ではあるが,この結果は東アジアの古第三紀哺乳動物化石産地でははじめての詳細な古環境復元であり,他の東アジアの古第三紀哺乳動物化石産地において古環境復元を今後進める上で,モデルケースとなるものである。 今回は,普及教育の一環として,市民が参加する発掘を試みた。その際,2タイプの参加方式を実施した。第一のタイプは,少数の市民が,長期にわたって発掘に本格的に参加するものであり,第二のタイプは,多数の市民が短期の体験型の参加をするものである。このような市民参加型の発掘を行うには,博物館の普及活動を支援するNPOの存在が重要であった。
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