1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11832003
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
甲斐 洋子 (志村 洋子) 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60134326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 弘義 東洋大学, 工学部, 講師 (10058141)
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Keywords | 快適環境 / 乳幼児 / 幼稚園・保育所 / 保育室 / 室内音響特性 / 保育士 / 幼稚園教諭 / 保育形態 |
Research Abstract |
本研究は、乳幼児の主たる生活環境である幼稚園・保育所の室内について、その音響環境を定量的に解析することにより、乳幼児の快適環境としての保育室内音響特性を明らかにすることを目的とする。 本年度はまず作業仮説1)にかかわって、乳幼児のコミュニケーションを支える音場としての室内がその仕様状況によってどの様に変動するか、従来型の園と新しく設計された先進的な園について日本及び台湾で実際に測定を行った。その結果、開口部の大きい共通部分がもたらす音の流れの設計的な処理が重要であることが示唆された。また、2国間の文化的背景の差異に起因すると考えられる子どもの活動状況の違いを含めた、室内での保育の活動のあり方とその形態が、保育室内の音環境決定する傾向があり、これまでに蓄積してきている日本の測定結果とあわせた解析を行う必要がある。 さらに作業仮説2)については、乳幼児・教師・保母が快適と感じる室内の音環境モデルはどの様なものであるかを知るための取り組みのひとつとして、アンケート及び聞き取り調査を行った。このアンケートは日本及び台湾で実施し、次年度の作業仮説2)の「通常の保育の中での活動内容・形態と乳幼児の行動などとの関連を解析する」ための素地となるデータを作成した。現時点で日本でのアンケートから明らかになったことは以下の通りである。保育者は子どもの声をはじめとする保育活動に関連する音について、「うるさい」と捉えることに消極的な傾向があるものの、具体的な音「椅子をひきずる音」「子どもが騒ぐ声」等への不満が多くみられた。このことは保育活動の音に関する意識は、教育的な配慮から表面上は「騒音」と捉えることへのはばかりがあるものの,実際には気になるものと捉えている実態が明らかになった。次年度は、アンケートの設問をより実態が分かるものへとさらに検討する必要があると考えている。
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[Publications] S. Imaizumi, K. Fuwa, T. Shimura: "Child development of adaptive phonetic gestures observed in vowel devoicing"International Congress on Phonetic Sciences, Proceedings. 3. 412-415 (1999)
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[Publications] 志村洋子,小田桐直子: "母体内音環境を目指した保育器内未熟児の行動発達変化の解析"埼玉大学地域共同研究センター共同研究成果報告書. 5. 7-10 (1999)
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[Publications] 藤井弘義,志村洋子: "幼稚園・保育所における保育室内の音環境(5) -日本と台湾の幼稚園・保育園比較-"日本音響学会講演論文集. II. 631-632 (1999)
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[Publications] 藤井弘義,志村洋子: "幼稚園・保育所における保育室内の音環境(6) -教師・保育士の意識-"日本音響学会講演論文集. II. 633-634 (1999)
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[Publications] 森 浩一,外山崇子,志村洋子 他: "fMRIによる聴覚皮質の反応の測定"「信学技報」電子情報通信学会. SP98-164. 78-84 (1999)
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[Publications] 志村洋子,甲斐正夫: "保育室内の音環境を考える(1)"埼玉大学教育学部紀要. 47-1. 69-77 (1998)
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[Publications] 山本文茂他: "音楽教育の研究 「乳児の音楽認知」"音楽之友社. 605 (1999)