Research Abstract |
今日の生活環境では,色が情報を伝達するための手段として様々なかたちで活用されている。このような色情報を適正に活用し,人と環境の良好なインターフェイスを実現するためには,色彩認知,視覚探索など,人の心理行動特性に対する科学的な理解に基づいた評価と設計が必要である。本研究課題は,色を利用する視作業効率の定量的な評価法の検討を目的としている。平成12年度の研究の概要を次にまとめる。 実験1:照度レベルに応じた色同定特性特性の測定-刺激サイズの影響 照度と刺激サイズに応じた色同定特性を測定した。照度は1000,10,1,0.1lxとし,各照度において刺激サイズ4,2,1,0.5degの条件を設定した。被験者は,提示された色票の色を,赤,オレンジ,黄,黄緑,緑,青緑,青,紫,ピンク,茶,白,灰,黒のいずれかの色名で回答する。実験の結果,照度低下に伴って色同定の一致度が低下すること,また,緑と青,ピンクとオレンジなどの組み合わせが混同されやすいことが示された。また,1lxでは,刺激サイズによる色同定結果に顕著な差が見られた。また,測定データより,色平面全域に渡る色同定確率分布を推定する方法を開発した。 実験2:視覚探索効率の色同定データによる定量評価 色を手がかりとした視作業として次のような視覚探索実験を行った。被験者のタスクは,指定された3桁の数字の紙片(ターゲット)をできるだけ早く見つけだすことである。ただし,被験者には,ターゲットに貼り付けてある色票の色を知らせておく。ターゲット色のカテゴリーが,他の色から明確に分離されるならば,探索の対象が限定され,より効率的な探索が可能になるはずである。予想されたようにターゲットの探索時間は,ターゲット色,照度,刺激サイズに強く影響された。この探索効率を実験1で求めた色同定データを用いて定量的に評価するモデルを検討した。
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