1999 Fiscal Year Annual Research Report
恐竜の移動と生息環境-日本の下部白亜系を中心として
Project/Area Number |
11833003
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松川 正樹 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30127914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 慎 千葉大学, 理学部, 教授 (10201930)
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Keywords | 恐竜 / 移動 / 生息環境 / 日本 / 下部白亜系 / 手取層群 / 関門層群 / 化石群集 |
Research Abstract |
手取層群と関門層群の調査を行った。 (1)岐阜県荘川村と白川村の手取層群について,地質野外調査を実施した。これまで,上記2地域の手取層群はそれぞれ独立した岩相層序区分が与えられており,相互の関係が不明であった。しかし、この研究で,2地域の手取層群は,同一のものであり,共通の特徴を持つ地層の分布の連続が確認された。両地域の手取層群は,デルタないしその周辺から沖合い,デルタ周辺から湖沼や河川流路,河川州,網状河川と蛇行河川の環境が解釈された。また,海生と非海生の6つの軟体動物化石群集を区分して,海水から淡水性環境の読みとり指標として,塩分濃度を見積もって,さらに,これらの化石群集を用いて,手取層群の環境の層序的変化を読みとった。その結果,海進期にはより低次オーダーの海進と海退を繰り返しながら進行するのに対して,海退期ではスムーズに環境が変化することを導いた。 恐竜は、海退期初期の湖沼と河川周辺の環境に生息していたと解釈できる。 (2)関門層群は,韓国慶尚層群と同一の湖沼や河川からなる堆積盆地を形成していたと解釈されている。慶尚層群は,恐竜の足跡が多産する。オストラコーダが両層群から多産するので,化石層序により対比と環境解析が可能である。関門層群のオストラコーダ群集は,慶尚層群下部のそれと同様であることがわかった。また,群集の入れ替わりが両層群で認められる。これは,オストラコーダ各種の古地理分布を考えあわえると浅海域での北からの海流の影響を受けた時期と調和的であると解釈した。 関門層群から恐竜足跡化石が産出しない理由として,恐竜の移動経路が関門層群の堆積盆地周辺からそれていたことが考えられる。 研究成果の一部を日本地質学会の学術雑誌から発表し,また,口頭発表した。また,British Columbia Palaeontological Societyでポスターで発表した。
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