2000 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌の進化の-要因としての植物/糸状菌間の遺伝情報の伝達とその機構
Project/Area Number |
11833004
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊藤 靖夫 信州大学, 理学部, 助手 (70283231)
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Keywords | 糸状菌 / 多核細胞 / 遺伝子ターゲティング / 相同組込み / 水平伝達 / 形質転換 / DNA二重鎖切断 / DNA修復 |
Research Abstract |
本課題では以下の2つの計画について研究を進めている。 (1)植物から菌類への遺伝子の伝達:糸状菌で選択可能なマーカー遺伝子を持つシロイヌナズナに、病原性菌および腐生菌を接種し、マーカー遺伝子が伝達された系統の選抜を試みている。しかし、これまで、そのような伝達現象を確認できなかった。そこで、モデル系として、培地中からのDNAの取り込みや、砂に吸着し、安定化させたDNAの取り込みについても検討を進めたが、これまで行った実験では伝達現象は確認されなかった。また、これらとは違った観点から植物-糸状菌間の遺伝子の伝達を考える系として、リンゴ斑点落葉病菌の特異的病原性決定遺伝子をクローニングし、塩基配列を決定した。その結果、コドンの利用頻度等からも考えて、他の生物種由来である可能性も示唆された。この内容をMolecular Plant-Microbe Interaction誌に発表した。 (2)糸状菌ゲノムへの外来DNAの組み込み機構:上記のDNAの伝達現象が起こるための、糸状菌細胞内での機構および装置として、DNAの組み込みに関与する遺伝子の同定を進めている。現在までに、減数分裂時組み換えおよび組み換え修復に関与する遺伝子3つをクローニングした。そのうち、相同性の検索に関与する遺伝子を、二種の糸状菌において部位特異的に破壊し、形質転換時における外来遺伝子の組み込み様式を詳細に検討した。その結果、遺伝子破壊株では相同的組み込みが全くおこらず、ゲノムへの組み込み部位数の増加も観察された。このことから、本遺伝子産物は相同的組み込みに直接関与すること、および遺伝子破壊株では、非相同的組み込みを介在する別経路も同様に効率的に機能することが明らかになった。この結果をまとめた論文をMolecular and General Genetics誌に発表した。残り二つの遺伝子についても、機能解析を鋭意勧めている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] R.D.Johnson ら(他5名): "Cloning and characterization of a cyclic peptide synthetase gene from Alternaria alternata Apple pathotype whose product is involved in AM-toxin synthesis and pathogenicity"Molecular plant-Microbe Interactions. 13・7. 742-753 (2000)
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[Publications] D.Ichioka ら(他2名): "An Aspergillus nidulans uvsC null mutant is defecient in homologous DNA integration"Molecular and General Genetics. 264. 709-715 (2001)