1999 Fiscal Year Annual Research Report
地球生物圏フロンティア(深海底と地底)の微生物相-生態と分類
Project/Area Number |
11833012
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長沼 毅 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (70263738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩月 輝希 核燃料サイクル開発機構, 東濃地科学センター, 研究員
河野 憲治 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (50034476)
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Keywords | 深海底 / 海底深部 / 地下生物圏 / 微生物 / 地下水 |
Research Abstract |
「伝統的生物圏」(陸上、海洋、浅海底など)に比べて、まだ未知の部分が多く残されている「辺境生物圏」(深海底、地底、南極など)のうち、本研究では深海底および地底にアクセスし、微生物試料を採取した。深海底試料は海洋科学技術センター運航の潜水調査船「しんかい2000」、「しんかい6500」や無人探査機「ドルフィン3K」、「かいこう」等を利用して採取した。地底試料(地下水を含む)は岐阜県土岐市の東濃地科学センター試錐孔および東濃鉱山から採取した。これらの試料から微生物の多様性と生物量を調べるため、遺伝子(DNA)と脂肪酸を抽出・解析し、同時に全菌数・生菌数も計数した。この結果、深海底には光合成に依存しない、むしろ化学合成依存型の微生物相が発達する場合のあることが分かり、そこで多様な化学合成プロセスの進行していることが示唆された。また、地底においては、地下約1000mでも地表とほぼ同程度の生物量で微生物が存在し、無酸素環境に適応した微生物相が発達していることが分かった。ここでは利用できるありとあらゆる酸化剤(末端電子受容体、TEA)が用いられ、無酸素呼吸の多様性、つまりTEAの多様性が展開していることが予想される。また、予備的ではあるが南極調査(日伊共同、1999-2000)にも参加し、化学合成微生物および無酸素呼吸微生物(嫌気微生物)の試料を採取したところである。今後は、このような化学合成微生物と無酸素呼吸微生物の多様性の解析を中心に研究を進める予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 村上由記,岩月輝希,長沼毅: "深部地下環境における微生物生態系"月刊海岸. 号外19. 108-115 (1999)
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[Publications] 長沼毅,木村浩之,高杉秀美,植田浩義,小山田潔,竹原竜大: "ベントナイト微生物学-地球深部研究および地層処分研究への応用の一例"月刊海岸. 号外19. 133-138 (1999)
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[Publications] 長沼毅,岡本拓土,藤岡換太郎: "熱水噴出孔下生物圏(サブベント生物圏)を探る"月刊海岸. 号外19. 217-222 (1999)
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[Publications] 木村浩之,東出幸真,長沼毅: "深海生物ハオリムシの体内と体外の微生物相"JAMSTEC深海研究. 15(1). 25-33 (1999)
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[Publications] 高杉秀美,長沼毅: "堆積物脂肪酸を用いた深海帯海底微生物相の解析"JAMSTEC深海研究. 15(2)印刷中. (2000)