2000 Fiscal Year Annual Research Report
サンショウウオにおける性染色体の分化並びに形態変化に関する基礎的研究
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11833016
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Research Institution | TOHO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河野 晴一 東邦大学, 理学部, 教授 (70057644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池部 千賀子 東邦大学, 薬学部, 講師 (30112907)
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Keywords | 性染色体 / 異形性 / 反復DNA / マイクロディセクション / カスミサンショウウオ属 / PCR / サザンブロットハイブリダイゼーション / W染色体 |
Research Abstract |
韓国済洲島のチョウセンサンショウウオは雌異型性の性染色体を有し、しかも、採集地点によりW染色体の形状が異なることが観察されている(池部未発表)。この種における異形性の成立は、W染色体における高頻度反復DNAの増幅が直接の原因と想定し、性染色体の分化の解明に資するために、W染色体の高頻度反復DNAの単離を試みた。 本年度は、昨年度末に採集された橋来里産の雌の胚3個体(W染色体の一部を掻き取る)と雌雄各1個体の成体(雌雄のゲノムDNA抽出)を材料として用いた。 ギムザ染色された中期核板中のW染色体から、マイクロディセクション法によって、ヘテロクロマチン領域であるサテライト部分と動原体領域を回収した。回収した染色体をプロテアーゼ処理した後、3段階DOP-PCR法を都合7回試みた。そのうちの1回についてPCR産物をクローニングし、27クローンを得た。現在までに3クローンについてインサートDNAの塩基配列を決定したが、3つともその塩基配列は異なり、また機知の塩基配列と高い相同性は示さなかった。PCR産物あるいはインサートDNAが橋来里産のチョウセンサンショウウオ由来の配列であることを確認するために、それぞれをプローブとたサザンブロットハイブリダイゼーションを行った。その結果、PCR産物及び塩基配列を決定した3つのインサートDNAのうちの1つ(208bp)について、サンショウウオのゲノムDNAにハイブリダイズのシグナルが観察された。これはPCR産物の成分中にはマイクロディセクション法によって染色体から増幅されたサンショウウオのゲノムDNAが含まれていることを示している。しかし、得られたシグナルに雌雄の差は見られなかった。以上の結果、W染色体に特異的に存在する高頻度反復DNA配列は、現在までの所では確認できていない。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ikebe,C.: "Pairing behavior of sex lampbrush chromosomes in Hynobiar leechii"Chromosome Sci.. 3・3. 152-152 (1999)
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[Publications] Ikebe,C.: "Cytogenetic Studies of Hynobiidae (Urodela) XVI. Comparative C-banded karyotype analysis of Pseudohynobius flabomaculatus (Fei et ye), Ranodon shihi (Liu) and Batrachuperus Pinchonii (David)."Chromosome Res.. 8・3. 265-272 (2000)
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[Publications] Ikebe,C.: "Cytogenetic Studies of Hynobiidae (Urodela). XXII. Banded karyotypes and sex chromosomes in Hynobius tenuis Nambu."Chromosome Sci.. 4・(in press). (2000)
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[Publications] 石田かおり: "性染色体の同定並びに形態変化に関する基礎的研究"東邦大学理学研究科. 95 (2000)