2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11833018
|
Research Institution | NATIONAL SCIENCE MUSEUM, TOKYO |
Principal Investigator |
加瀬 友喜 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (20124183)
|
Keywords | 海底洞窟 / インド・太平洋 / 沖縄 / 腹足類 / 軟体動物 / アミ類 / 進化 / 陸上進出 |
Research Abstract |
1.海底洞窟は、海岸付近の様々な環境を経て、地上の地下水系に繋がっていることが多い。本研究では、海底洞窟からanchialineを経て地下水系に連続的は水系は、これまで知られていない生物の海から陸上への進出経路の一つと考えている。本研究では、鹿児島県上甑島の貝池の海岸を仕切る岩石州内部のanchialine環境、高知・愛媛両県の河川の河口付近の礫下からアマガイ上目コハクカノコ科の新種ツバサコハクカノコ(Neritilia mimotoi)を発見した。コハクカノコ科は、これまで河川の河口付近からかなり内陸部の岩石上に生息するものが知られていたが、岩石下の隙間やanchialine環境からは初めてである。 2.本研究で調査した熱帯インド・太平洋の殆どの海底洞窟から産出する微少巻貝類の2種の殻および軟体を詳しく検討した結果、それらはクチキレエビスガイ科、Larochea亜科の新属・新種(Trogloconcha ohashii、Troglocancha tesselata)であることを明らかにした。従来知られているLarochea亜科の諸種は深海に生息する種群であり、これまでに海底洞窟の貝類にしばしば見られる深海種との共通性がさらに確認された。 3.沖縄本島北部の海底洞窟の調査中に得られた微少甲殻類を検討した結果、アミ目Heteromysoides属の新種Heteromysoides simplexを見いだした。この種は本属の第9番目の種である。海底洞窟からは大西洋に2種が知られており、太平洋の海底洞窟からは初めての報告となる。 4.熱帯インド・太平洋の海底洞窟に生息するシラタマアマガイ属巻貝Pisulina adamsiana(シラタマアマガイ)の解剖学的研究を行った。その結果、殻体から示唆されたコハクカノコ科への所属が、解剖学的所見でも支持された。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Kano, Y., Sasaki, T., Ishikawa, H.: "Neritilia mimotoi, a new neritiliid species from an anchialine lage and eusuaries in southwestern Japan"Venus. 60・3. 129-140 (2001)
-
[Publications] Kase, t., Kano, Y.: "Trogloconcha, a new genus of larocheine Scissurellidae (Gastropoda : Vetigastropoda) from the tropical Indo-Pacific submarine caves"The Veliger. 45・1. 25-32 (2002)
-
[Publications] Kano, Y., Kase, T.: "Anatomy and systematics of the submarine cave gastropod Pisulina (Neritopsina, Neritiliidae)"Journal of Molluscan Studies. (印刷中).
-
[Publications] Hanamura, Y., Kase, T.: "A new species of Heteromysoides (Crustacea : Mysidacea) from submarine caves of Okinawa, SW Japan"Crustacean Research. 30. 65-71 (2001)