2000 Fiscal Year Annual Research Report
酵素反応および蛋白質機能に対す強磁場効果に関する研究
Project/Area Number |
11834005
|
Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
岩坂 正和 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90243922)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 正廣 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60158954)
|
Keywords | 磁場効果 / 酵素反応 / 蛋白質 / 細胞形態 / 磁場配向 / 反磁性物質 / 血小板凝集 / ヘモグロビン |
Research Abstract |
本研究課題では、酵素反応および蛋白質機能への磁場効果を調べることで、生体分子・細胞を中心とした生体反応における磁場効果の基礎的研究を行い、以下に述べるような成果を得ることができた。 最初に、蛋白質の構造変化に及ぼす強磁場影響の研究を行った。赤血球の光学スペクトルを磁場中で測定することで、単離されたヘモグロビンおよび赤血球内ヘモグロビンの構造に対する磁場効果を検証した。10テスラ級の強磁場で細胞の配向と同時に、細胞内の大域的な構造変化に起因した赤血球内ヘモグロビンの構造変化が生じたことが示唆された。また、酵素反応への磁場効果に関し、活性酸素系のカタラーゼの酵素反応を最大8テスラの直流磁場下でカタラーゼ固定化電極を用いて調べた。強磁場下では、白金黒表面に積層し固定化した酵素カタラーゼの活性が減少したことを示唆する結果が得られた。 さらに、磁場配向させたコラーゲン繊維網における血小板の吸着性・凝集能について調べた。血小板はコラーゲンと接触することで凝集反応を開始し、配向コラーゲン上に平行な凝集体を構成した。さらに、微量のコラーゲンを添加した血小板サスペンションの凝集反応において、数テスラ級磁場は、血小板凝集速度を増加させた。 また、培養血管平滑筋細胞が単独であるいは配向蛋白質の添加なしに、8テスラ磁場下で磁力線方向に沿って細胞全体が並ぶ現象が再現性のある新規な現象であることを確認した。血管内皮細胞においても付着細胞が磁力線の方向性を感受して並ぶ可能性を示すことができた。細胞内の骨格蛋白質や細胞膜に作用する反磁性磁気力が細胞内外の蛋白質などの構造変化を引き起こすとともに、細胞の形態自身も変えうることが示唆された。
|
Research Products
(10 results)
-
[Publications] Iwasaka,M.,Yaoita,M.,Kono,T.,Ueno,S.: "Magnetically Disturbed Activity of Immobilized Catalase on an Electrode in Hydrogen-Peroxide Buffer"IEEE Transactions on Magnetics. July(in press). (2001)
-
[Publications] Iwasaka,M.,Miyakoshi,J.,Ueno,S.: "Optical Absorbance of Hemoglobin and Red Blood Cell Suspensions under Magnetic Fields"IEEE Transactions on Magnetics. July(in press). (2001)
-
[Publications] Iwasaka,M.,Miyakoshi,J.,Ueno,S.: "Magnetophoresis of Diamagnetic Cells and Microorganisms in a Culture Medium"IEEE Transactions on Magnetics. July(in press). (2001)
-
[Publications] Iwasaka,M.,Takeuchi,M.,Ueno,S: "Aggregation of Blood Platelets in Static Magnetic Fields"IEEE Transactions on Magnetics. September(in press)(発刊遅延). (2000)
-
[Publications] Ichioka,S.,Minegishi,M.,Iwasaka,M., et al.: "High-intensity static magnetic fields modulate skin microcirculation and temperature in vivo"Bioelectromagnetics. 21. 183-188 (2000)
-
[Publications] Kotani,H.,Iwasaka,M.,Ueno,S., et al.: "Magnetic orientation of collagen and bone mixture"Journal of Applied Physics. 87. 6191-6193 (2000)
-
[Publications] 上野照剛,岩坂正和: "生物に関連する磁界効果と医療応用"電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌). 120-A. 377-382 (2000)
-
[Publications] 岩坂正和,山本希美子,小谷博子,安藤譲二,上野照剛: "血管細胞の磁場配向による細胞積層構造の構築-人工血管壁への応用を目指して-"電気学会マグネティックス研究会資料. MAG-00-212. 55-60 (2000)
-
[Publications] 岩坂正和,上野照剛: "磁場は生体高分子の構造を変えるか?-磁場中近赤外分光による評価-"電気学会マグネティックス研究会資料. MAG-00-212. 39-44 (2000)
-
[Publications] 吉村裕,山口喜久雄,岩坂正和,上野照剛: "ラット頭部の酸素化・脱酸素化ヘモグロビンに対する直流磁場効果"生体磁気学会論文誌. 12-2. 39-46 (2000)