1999 Fiscal Year Annual Research Report
超低周波電磁界が生体リズム生成機構に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
11834012
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
樋脇 治 広島市立大学, 情報科学部, 助教授 (30264948)
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Keywords | 磁場 / 視交叉上核 / 概日リズム / 体内時計 / 超低周波 |
Research Abstract |
平成11年度では、ラットの体内時計の中枢である視交叉上核の電気的活動に及ぼす超低周波磁場の影響について予備的な実験を行った。磁場は強度と方向を持つベクトルであり、生体への磁場の影響を調べるためには、磁場に対して生体を一定方向に保つ必要があると考えられる。そのため、ラットを長時間非動化する方法について試行錯誤し開発を行った。まず、長時間の麻酔効果があるウレタンによる麻酔を用いた。ウレタンの麻酔持続時間は約40時間程度であり、概日リズムの1周期を観察することができる。しかしながら、麻酔深度は時間とともに徐々に浅くなるため、条件を一定に保つことは困難であり、再現性を確かめることが難しかった。次に、麻酔深度を比較的一定に保つことのできる吸引麻酔法を試した。吸引麻酔薬としてハロタンを用い、酸素との混合ガスによる麻酔を行った。ハロタンによる麻酔は麻酔深度を比較的一定に保つことができたが、麻酔が維持できるのは高々30時間程度であり、概日リズムを観察するための十分な時間、麻酔を維持するのは困難であった。麻酔薬を用いたラットの長時間の非動化は困難であると判断し、無麻酔でラットを固定器で固定する方法を考えた。市販のラット固定器を数種類試してみたが、いずれもラットの自発呼吸を長時間維持することは困難であった。市販の固定器を改良し、自発呼吸を長時間維持するために胴体のみを固定する装置を自作した。その結果、ラットに苦痛を与えることなく自発呼吸を維持し、数日間ラットを固定できる装置を開発した。また、実験中は給水・給餌ができないため、静脈中にグルコースを含んだ電解質溶液の輸液を行うようにした。その結果、視交叉上核神経活動の概日リズムを数周期に渡って安定して観察できるようになった。平成12年度では、この装置を用いて超低周波磁場が視交叉上核の概日リズムに与える影響について磁場の方向を考慮した実験を行う予定である。
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