1999 Fiscal Year Annual Research Report
廃用性骨萎縮の成因における不動性と荷重減少に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
11835010
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森田 定雄 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (20202426)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粂井 康宏 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (30161714)
|
Keywords | 骨粗鬆症 / 骨萎縮 / 廃用症候群 / 骨密度 / 無重力 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
本年度はまず今回の実験に用いる骨芽細胞を確保するため,3人の患者より同意を得て,手術時に本来破棄されるべき骨片から骨芽細胞の採取,培養を行い,それらを冷凍保存した.ついで新型クリノスタット(わが国最初の4連同調1軸高速回転型)を製作し,上記の正常なヒト骨芽細胞を用いて継代に伴う細胞機能の変化と重力ベクトル相殺による模擬微小重力との関連を解析した。従来の培養フラスコ(底面積25cm^2)を用いてクリノスタット回転による細胞の基本的性質,すなわち細胞増殖およびオステオカルシン産生などの形質発現への影響について解析した。しかし,従来報告されているものと全く異なり,クリノスタット回転の効果が消失するという結果になってしまった。この原因を究明するための検証を行った結果,従来型培養フラスコを用いた場合では回転軸中心と培養容器中最も遠隔部分との間で生ずる半径成分が30mmに達したため,回転による重力ベクトル相殺効果に付随して,同時に,半径成分による遠心力すなわち過重力が無視できない程度に発生したことに起因することが推察された。そこで培養システムを根本的に見直し,培養容器を半径5mmの円筒型に変更する改良を行い,現在このモデルを用いて,実験を再開し,検討中である. 以上の実験と平行し,荷重軽減モデルとして5週齢の雄ウイスター系ラットを用い,一側下肢の坐骨神経と大腿神経切除したモデルを作製した.2週間後に屠殺し,両側の大腿骨,徑骨を採取し骨密度(DEXA)を計測した.坐骨・大腿神経を切除した側の大腿骨,徑骨では反対側に比べ,有意に骨密度の低下が見られた.骨密度の低下は海綿骨の多い骨端部と骨幹端部により大きく見られた.この実験は再現性も確認され,次年度はこのモデルのラットの大腿骨,徑骨より骨芽細胞を採取し,骨萎縮の要因について解明する予定である.
|