2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中リハや腎不全透析患者の栄養・体力評価とADL・QOL改善を目指した運動療法
Project/Area Number |
11835016
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
傳 秋光 神戸大学, 医学部, 教授 (40143945)
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Keywords | 脳血管障害 / リハビリテーション / 体力 / 運動負荷試験 / 酸素摂取応答 / 運動耐応能 / 腎不全血液透析患者 / モチベーション |
Research Abstract |
脳血管障害片麻痺患者において運動負荷試験時のフィジカルフィットネスを検討することは、この障害患者の体力を把握し効率のよい運動療法を行う上で、即ちリハビリテーション医療を進める上で非常に重要である。今年度は特に、酸素摂取応答と運動耐応能について検討した。患者は29名(平均年齢は55.4±13.2歳。患側下肢のBrunnstrom stageはIII〜IVが14名、V〜VIが15名。発症から76.1±65.1日を経過。)。運動負荷試験は連続呼気ガス分析装置併用下、自転車エルゴメーターで実施した。評価は、入院時と8週後に実施した。この間、通常の療法に加え、嫌気性代謝閾値レベルの全身持久力訓練を併用した。入院当初にみられた「酸素不足(酸素欠損)」および「時定数(τon)」の高値は、8週後には有意に低下した。即ち、運動時における酸素摂取応答の改善が得られた。また、VO2peakおよびmax WRの有意な増加、漸増運動中におけるΔVO2/ΔWRの有意な低下がみられたことは、全身持久力の向上に伴い、運動耐応能が改善したことを示唆するものと考えられた。運動負荷試験時の酸素摂取応答と運動耐応能の変化を観察する手段としては、自転車エルゴメーターによる定常負荷とランプ負荷の組み合わせによる運動負荷試験が有用であることも示唆された。 他方、腎不全血液透析患者の体力を把握し適切な運動療法を行うためには、運動負荷試験による上記のことなども含めた解析とともに、身体組成(体脂肪量、筋量、骨量、細胞内外の水分量)の解析なども必要と考えているが、未だ症例数は集積されていない。この理由としては、啓蒙活動にもかかわらず透析患者さんは運動療法に対してmotivationを欠除するケースが圧倒的に多いとの印象を受ける。実際に差し迫った危機感や自覚症状がない限り、運動負荷試験を省いた運動療法の指針のみの説明を希望するなどの患者さんが多い。継続研究としたい。
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